<プロローグ>
個人経営な為、少数の男性が買い物に来るだけという店が難破に存在する。
その店の名はコンビニエンスストア「WEST SIDE 」
個性的な店員しかいない事で有名。
しかも、店員たちは店の上のアパートに住んでいるらしい。
来るのは常連の個性的な男性客ばかり・・・来るとしても、たまに店員目当ての女性客が来る程度。
よくそんなんで経営がかたむかないな、というくらい客が少ない店である。
そんな、コンビニエンスストア「WEST SIDE 」は今日も暇だ。
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「あー・・・今日も暇やなぁ」
レジのカウンターに頬杖をつきながら漫画雑誌を読む男が一人。
名は中川。若くして個人経営のコンビニを開いた男である。
つまりは、オーナー。
「オーナー・・・ええかげん仕事してほしいんやけど?」
そんな中川を、額に怒マークをつけながら睨む顔が大きい男。
名は高井。中川の友人にして、この店の店長である。
しかも、経理担当者。
「無駄ですって、高井さん」
「中川さんが仕事するんは美人が来た時だけやで」
高井を宥めるかのように、横から現れた長身の男と小さい男。
長身の男の名は宇治原。大学生のアルバイトである。
目が窪んでいるとこが特徴。
偏差値はかなり高いらしい。
小さい方の男の名は菅。宇治原の友人で大学生のアルバイト。
特徴は天使のような可愛らしい顔。
しかし、中身は悪魔で狡猾。
「仕事せぇへんのなら帰れや!」
「なんでやねん。俺の家はここやんか」
「ちゃうやろ!中川の家はこの上にあるアパートの101号室!!」
高井の怒鳴り声が店内に響く。
どうやら、客が来ない為にイライラしているらしい。
すると、そこへ・・・。
「おはようございます!すいません、学校に居残りして遅れました!!」
よほど急いで来たのか、息を切らせながら男子高校生が店内に入ってきた。
名は西野。近所の高校に通う新人アルバイトである。
以上がコンビニエンスストア「WEST SIDE」の店員たち。
店員さん少ないんじゃない?と思いのお姉さま方・・・。
心配はいりません。
お客さんが少ないので、これでも足りています。
その時です。店の自動ドアを開きました!
この日、初めてのお客様です。
ちなみに現在の時刻は夜7時・・・。
「いらっしゃいま・・・って、お前かい」
「お前かい、とは何ですか」
接客スマイルを浮かべていた高井の顔が徐々に変わっていく。
店に入ってきたのは身体の細い鳥のような顔をした男。
手にはギターケースを持っている。
「買い物せぇへん奴は客やないわ」
「まぁ、そう言われたら何も言い返せないですけど」
男の名は後藤。
この店の上にあるアパートに住むフリーターである。
アーティストを夢見ているらしいが、フリーターの為に貧乏。
ゆえに、こうして店に来ては賞味期限の過ぎた弁当を貰っていくのであった。
「後藤、ほら」
「おう。悪いな、宇治原」
「今日はカルビ弁当が余ったで」
「ほんま!?嬉しいわーvv」
彼の命はこの店のおかげで繋いでいると言っても過言ではない。
「後藤、今日も駅前でギター弾いてきたんやろ?」
「弾いてきましたよ」
「ええなぁ・・・夢を追いかける若者は・・・」
「中川、発言がオッさんやで」
「中川さんはすでにオッさん臭がしますけどね」
かなり失礼な発言をしているのは宇治原である。
すると、そこへ・・・。
「こんばんはー」
間延びした声の男が店内に入ってきた。
その声にいち早く反応する後藤。
「の、のん!」
「あれ?後藤くんやー」
男の名は岩尾。
上のアパートの住人にして宇治原たちと同じ大学に通う学生。
後藤の思い人でもあるらしい。
本人は気付いていないようだが・・・。
「何してんねん?」
あからさまに嬉しそうな顔をしている後藤。
ちなみに、店員たちは後藤の岩尾に対する気持ちを知っている。
「ご飯ないから買いに来たんやけど・・・後藤くんは?」
「俺はさっき貰ったで」
「ええなぁー」
「お前は金あるんやからちゃんと買っていけ」
「後藤くんばかり、ひいきですやん」
「後藤は金ないから仕方なくや。お前は金あるやろ」
高井の言葉に押し黙る岩尾。
確かに、貧乏な後藤に対して岩尾は金に困ってはいない。
岩尾の実家は裕福なのだ。
岩尾は親から送られてくる仕送りと今まで貯めてきたお年玉や小遣いで生活しているので金に不自由はない。
「後藤くん、プリン食べへん?」
「奢ってくれるん?」
「ええで。一緒に食べよ」
「ありがとなぁvv」
かなりの甘い雰囲気である。
しかし、これにイライラしない筈がない店員たち。
オーナーを除き・・・。
「お前ら、買うもん買ったんやからさっさと帰れや!」
「うざい」
「鳥顔がな」
酷い・・・。
店内の掃除をしながら、そう思わずにはいられない西野。
ちなみに、ここの店員たちは全員がフリーである。
・
後藤と岩尾が店内を出ていって数分後。
新たな客がやって来た・・・。
「こんばんは」
「あ、福ちゃんや」
「一人なん?」
異様に顔がテカっているが、可愛い感じの男であった。
名は福田。やはりこの店の上のアパートに住む大学生である。
「宇治原、今日の抗議のレポートなんやけど」
「ん?」
「貸してくれへん?」
「ええで。あとで届けたるわ」
「ありがとうなー!」
ちなみに、宇治原たちと同じ大学だったりする。
福田は笑顔で宇治原に礼を言った。
その時!近所迷惑になるくらいの大声が店内に響く!!
「ちょお待ったー!!」
「と、徳井くん!?」
「福!宇治原のレポートなんか見んでも、俺がいるやんか!!」
「徳井くんは抗議の間、ずっと寝てたやんかぁ!!」
いきなり店内に飛び込んできて、大声でまくしたてる男前。
その男の登場に、オーナー中川を除いた全員が溜息をつく。
ちなみに、中川は寝ていた。
男の名は徳井。福田の幼なじみである。
福田に異常な激愛を抱き、押し掛け女房のごとく居候となった変態・・・もとい、男前だ。
「徳井、大声出すな」
「あ、すいません」
もはや怒ることすら面倒となってしまった高井が徳井を注意するが、徳井に悪びれた様子は全くない。
「福!何で一人で行くねん!」
「あー、うるさい!徳井くんは黙っててや!!」
ますます大きくなる二人の声。
この時、菅は高井の額に青筋が浮き上がってきていることに気が付いた。
「・・・菅、どこ行くねん」
「裏やけど」
「なんでや」
「俺の計算では、あと一分が限界や」
「・・・なるほど。それなら俺も裏行くわ」
「・・・え?」
さっさと裏に行ってしまった二人に、頭上に?を浮かべる西野。
彼は知らない・・・。
「・・・お前ら」
あと数秒で鬼が爆発することなど。
「ええかげんにしろー!!!!」
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「すいませんでした!ほら、徳井くんも謝り!」
「・・・すいませんでしたぁ・・・うわー、まだ耳痛いわ」
「徳井くん!!」
怒る高井に謝り続ける福田と、謝る気配すらない徳井。
そして、放心する西野。
今だ眠り続けている中川。
コンビニエンスストア「WEST SIDE」、高井のストレスはたまる一方であった。
しかし、彼等はまだ知らない。
あと数日もしないうち、この店に天使が舞い降りることを。
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コメント
高井さんは苦労人という役です。
西野があんまり出張らないなぁ・・・。
でも、梶くんが出てくれば出張りますよ!!
お楽しみに!!(誰も楽しみにするか!)
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