<素直になれないロック魂>
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「松口!!何でお前は指定されている制服を着てこないんだ!?」
朝、生徒たちが登校してくる時間・・・。
生活指導教師の怒鳴り声が廊下に響きわたった。
そのあまりの声の大きさに思わず耳をおさえたくなるが、そこはあえてやめておく。
この怒りまくっている暑苦しい教師の前でそんなことをすれば、拳が飛んでくるのは目に見えている。
まぁ、そんなん軽くよけられるけどな・・・。
生活指導教師に怒鳴られている張本人、松口祐樹は欠伸をかみ殺しながら心の内で呟いた。
「聞いているのか、松口!大体、その服装は何なんだ!?」
「・・・」
この言葉に、松口の耳がぴくっと反応する。
今日の松口の服装・・・。
それは、指定されている学ランではない。
「ロックだか何だかは知らんが、ちゃんと制服を着てこい!学校に私服で来る奴があるか!」
「・・・放っておいてくれますか」
そう呟いて教師を睨み付け、松口は反対方向を向いて歩きだす。
「おいっ!何処に行くんだ!!授業はもうすぐ始まるぞ!」
「さぼるわ」
「なに言ってるんだ!おい!松口!!」
「じゃあかしいわ!お前なんかの授業なんて受けれるか!!」
「松口!!」
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「祐樹」
「何しき来たんや」
「俺もさぼりや。隣、ええか?」
「勝手にせぇ」
「勝手にするわ」
屋上で寝そべっている松口の隣に長身の青年が横たわる。
名は大上。松口の友人である。
「お前、今日も派手に怒られとったなぁ」
「お前まで説教するんか」
「いや?そんな気はない」
「・・・ふーん」
「お前、カッコええし」
「・・・」
「俺にはできひんわ」
「ふーん・・・///」
「あ、今ちょっとジーンときたやろ」
「ばっ!・・・んなわけあるか!!」
「ふーん?」
「・・・っ///」
「素直やないなぁ」
「うるさい!」
松口は顔をそむけるが、耳まで真っ赤になっていた。
そんな松口に大上は優しく微笑む。
「いっそ、俺も私服にしたろか?」
「・・・あかん」
「なんで?」
「俺だけでええねん」
「なんでぇな、俺も学ランなんて着たないし」
「ええんや!お前はそれ着とけ」
「・・・わかった!」
「あ?」
「お前、学ランの俺が好きやねんな?」
「・・・調子にのんな!!」
「またまたぁ、素直になれって」
「・・・阿呆」
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end
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コメント
針金の二人です。
松口さんは団体行動とか協調が嫌いだと思うので・・・。
つうか、松口さん主演の映画を思い出すなぁ。
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