<恋は盲目>

「ぶっちゃけた話、どこがええんですか?」

「・・・は?」

とある仕事の収録日、フットボールアワーの後藤はリハーサルが始まるまでの時間を潰そうと、喫煙所に煙草を吸いに来ていた。

別に楽屋は喫煙OKなので、楽屋で吸ってもいいのだが、相方の岩尾は煙草が嫌いなのだ。

故に、こうしてわざわざ喫煙所に来たわけなのだが・・・。

偶然にも、先客にキングコングの二人がいた。

「お久しぶりです」

「M-1以来やなぁ」

「正月の爆笑ヒットパレードでも会いましたよ」

「そうやったか?」

などと、軽い挨拶を交わし、煙草に火をつける後藤。

すると、梶原が・・・。

「岩尾さんはいてはらないんですか?」

と聞いてきた。

「アイツは煙草嫌いやねん」

「そういえば、酒も飲まないですよね」

「飲まへんな。お前らはどっちも吸うてんねや?」

「俺らは酒も煙草も大丈夫です」

「ええなぁ。苦労とかないやろ?」

「苦労、といいますと?」

「いろいろや」

後藤の言葉に、西野は「なるほど」と頷いた。

一方、梶原は今だに訳がわからない様子。

「どういう意味?西野っち」

「梶・・・」

「キスする時とか嫌がられへんやろ?」

「あっ・・・」

みるみるうちに顔を真っ赤にさせる梶原。

「一緒におっても、酒は俺一人しか飲まへんしな」

「一人で飲んでても面白くないですか?」

「そうやないけど、いろいろあるやろ?なぁ、西野」

「そうですね」

「?」

後藤が西野を見ると、西野は笑いながら同意した。

しかし、梶原はまたもやわからないという顔をしている。

「でも・・・後藤さん」

「ん?」

「ぶっちゃけた話、どこがええんですか?」

「・・・は?」

「いや、だから・・・」

「ああ。アイツのどこがええんかって事か?」

「そうです」

「確かになぁ・・・」

後藤は相方兼恋人でもある岩尾の姿を思い出した。

確かに、岩尾は顔立ちが整っている方ではない。

どちらかと言えば不細工と言える。まぁ、それをキャラにしているわけだが。

「・・・まぁ、お前にはわからんやろな」

「どういうことですか?」

「俺に言わせれば、お前は梶原のどこがええねん?」

「なっ!何言うてはるんですか!こんなに愛らしいのに!」

「阿呆!」

そう言って抱きついてきた西野を突き飛ばす梶原。

そんな二人を見て、後藤は笑った。

「それと同じやねん」

「俺はわかりますよ、後藤さん」

「そうか。せやったら、梶の方が賢いな」

「後藤くん、おかえりー」

リハーサル30分前になった為、後藤は楽屋へ戻った。

ドアを開けると、台本に目を通していた岩尾が笑顔で出迎えてくれる。

そんな姿を見て、思わずときめてしまう後藤。

「・・・重症やな」

「後藤くん、病気なん?」

「病気かもしれへん」

「じゃあ、病院に行った方がええんちゃうの?僕も付きそうで?」

「別に治らんでもええねん」

「なんで?」

キョトンとしながら聞いてくる岩尾にたまらなくなったのか、後藤は岩尾に口づけた。

すると、岩尾があきらかに嫌そうな顔をする。

「なんやねん、その顔」

「煙草くさい」

「吸うて来たからな」

「せっかく心配したのに・・・」

「だから、治らんでもええ言うとるやろ?」

「なんでや、悪い病気やったらどうすんの?」

「ええねん」

そう行って、後藤はもう一度口づけようとするが・・・。

その前に岩尾の手によって阻まれてしまった。

「煙草くさいから嫌や」

「・・・のん」

「ん?」

「俺の病気、お前にもうつったらええのにな」

「嫌や、そんなん」

「・・・」

「煙草くさいから近寄らんといて」

「・・・・ほんま、うつったらええのに」

「何か言うた?」

「何も言ってへん」

恋は盲目・・・。

君の良さは僕だけにしか理解できない。

それこそ、治る必要などない恋の病。

end

コメント

ミライさま、こんなんでよろしいですか?

本当にすいませんすいません。

しかも、ノンちゃんがあまり出てきてません。

本当にすいません。そして何気に西梶はいってました。

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