<天使と悪魔らの恋の駆け引き>


大きな瞳にさらさらの髪の毛。
小さくて華奢で、抱きしめるといい匂い。
まるで砂糖菓子のような甘い香りを放つ君。
いっそのこと食べてしまいたいくらい、愛しくて可愛いね。


「梶ー、このあと俺の家来いひん?」
「菅さんの家に?」
「それやったら俺の家に来いや」
「宇治原さんの家?」
「宇治、俺が先に誘ったんやから邪魔すんなや」
「そんなん知るかい」
「あぁ?お前、誰にそんな口聞いとんねん」
宇治原と菅が睨み合い、ばちばちっと火花が散った。
その間に挟まれた梶原はどうすることもできずにおろおろするばかり。
そんな梶原を心配してか、西野が助け出そうとするが・・・。
「か・・・」
「待て、西野」
すぐに高井に止められてしまった。
「なんですか?」
「放っておけ」
「そんなん出来るわけないやないですかっ。俺の梶が困ってんのに・・・」
「・・・西野、お前・・・阿呆やな」
「え?」
諦めたかのように溜息をつき、高井が西野から離れていく。
「高井さん?」
わけがわからない、といった顔をしている西野に忍び寄る黒い二つの影。
「西野、お前今なんて言うた?」
「俺の梶って何やねん」
「!!」
ドスがきいた恐ろしい声が西野を襲う。
青ざめた顔をしながら恐る恐る振り返ると、そこには笑顔ながらもあきらかに怒っているロザンの姿が・・・。
そして、次の瞬間。
西野の男前とは思えぬ叫び声がbaseに響きわたったとか・・・。
「・・・やから言ったのに」
「西野も学習せぇへんなぁ」
無惨な姿と化した西野を不憫そうに見つめる高井と、けらけら笑いながら眺める中川。
「に、西野!?」
死体となろうとしている西野に梶原が近寄ろうとするが、すぐに菅に阻まれてしまう。
「梶、あんなん放っておけや。それより俺の家に来るやろ?」
「え、でも・・・」
「菅の家になんか行ったら危ないで?せやから俺の家に・・・」
「え!?菅さんの家って危ないんですか?」
「あ、いや。そういう意味やなくて・・・」
「全然危なくないでー?むしろ、楽しいこといっぱいあるしvv」
「楽しいこと?」
「すっごく楽しいでvv」
菅の「楽しいこと」発言に梶原は少し目を輝かせる。
この天然小猿ちゃんのことだから、別の想像をしているに違いない。
菅の勝利かと思えた。
しかし・・・。
「あ、やっぱり今日はムリです」
「な、なんでや!」
さすがにこの言葉には菅も声をあげる。
そりゃそうだろう。
菅は梶をお持ち帰りできると確信していたのだから。
「プチが待ってるし、早く帰ってやらないと」
プチとは梶原が飼っている犬のことである。
しかし、ここで引かないのがロザンの二人。
「なら、梶の家に行くわ!」
「俺も!」
「えぇ!?」
「梶の犬見てみたいしな」
「でも、俺の家なにもないですよ?」
「ええって」
「冷蔵庫のなか空やし・・・」
「帰りにコンビニにでも寄ったらええやん」
「・・・」
「俺ら奢ったるし。な?宇治」
「遠慮せんでええんやで?何でも買うたるわ」
まさに悪魔の誘いである。
金のない梶原にとっては魅力的な話だが、その様子を見守っている高井からすれば悪魔の罠にかかる天使の様・・・。
そして、無垢な小猿は見事に悪魔の誘惑に負けてしまう。
「俺の家でよければ・・・」
「じゃあ、早く行こうや!」
内心でニヤリと悪魔の笑みを浮かべつつ、菅はいつものエンジェルスマイルのまま梶原の腕を掴む。
「あ、ちょっ・・・」
「菅、梶が困ってるやろっ」
「そんなことないよなー?ほな、お疲れさまでしたー!」
「お、お疲れさまでしたっ」
「お先失礼しますわ」
まさに嵐が去ったといった感じだろうか。
三人が去った後、何とも言えない溜息をつく高井。
「はぁ・・・」
「兎を捕まえた獣みたいやわvv可哀想に、喰われるのは確実やなぁ」
「たーちんっ!」
不謹慎にも楽しそうにそんなことを言う中川を睨み付ける。
しかし、中川は全く気にする様子もなく・・・。
「まぁ、ええやんか。あいつらも無理矢理はせぇへんと思うし」
「・・・洒落にならんわ」
「じゃ、俺らも帰ろうや」
「・・・せやな。ところで、西野どうすんねん」
「放っておいても大丈夫やって。早よ帰ろ」
結局、非情な先輩に放っとかれることになってしまった西野。
彼が目覚めるのはもう少し先のこと・・・。
そして、見事に悪魔の誘惑にのってしまった小猿がどうなるのかは・・・。
二人の悪魔のみが知る。


end


コメント
ロザン×梶原です。
最近のブームなんです。すいません!