<酒は飲んでも飲まれるな>
今までの人生。
恋愛に関しては駆け引きを楽しんできた俺ですが。
マジで恋愛しようと初めて思いました。
「あれー?えーと、磁石の佐々木くんじゃない?」
「井戸田さん!?////・・・こ、こんばんは」
「一人で飲んでんの?」
「あ、永沢がいたんですけど先に帰りました」
「ふーん?佐々木くんは帰らないんだ?」
「もう少し飲みたいので」
「じゃあ、一緒に飲まない?」
今まで、オンエアバトルくらいでしか会ったことはない。
会っても、お互いに話をしたことなんかない。
憧れている先輩の一人だった。
だから、名前を知っていてくれたことが嬉しかった。
「佐々木くんってぇ、男前だよねー」
「そんなことないですよ。俺より井戸田さんの方が男前じゃないですか」
「そうかな・・・俺って男前?」
やけに嬉しそうに笑う井戸田さん。
あ、なんか・・・可愛いかも。
「小沢さんがさ、俺のこと可愛いって言うんだよな」
「・・・」
わかる気がする。
「俺のどこが可愛いっていうんだよ」
「・・・そうですね」
この人、本当に32歳なんだろうか・・・。
大体、男が頬を膨らませるのは変じゃないのか?
・・・可愛いけど。
「・・・!?」
待てよ・・・。
なんか、自分の心臓がきゅんと鳴った気がする。
え?まさかな・・・嘘だろ?
ありえないだろ。
男だぞ?しかも、憧れてる先輩だぞ?
「・・・」
「あれ?どうかした?」
「い、いえ・・・」
「顔、赤いよ」
「酒のせいですよ」
「そうかなー・・・熱でもあるんじゃない?」
「っ!?」
い、井戸田さんの手が・・・俺の額に!?
い、いやいや・・・落ちつけ俺!
井戸田さんは先輩として後輩を心配してくれてるだけだ!
「熱い・・・やっぱ熱ない?」
「だ、大丈夫です!」
「明日も仕事だろ?無理しちゃ駄目だよ」
「は、はい」
「今日はもうやめといたら?」
「・・・」
井戸田さんが俺の顔を覗き込んでくる。
ああ、マジで可愛いかも・・・。
「佐々木くん?」
「あ・・・え?」
「本当に大丈夫?送っていこうか?」
「そ、そんな!先輩に送っていただくなんて!」
「何言ってんだよ。先輩だからこそ後輩の面倒は見るもんだろ」
「・・・」
先輩だから・・・かぁ。
ちょっと・・・いや、かなり・・・ショックかもな。
「佐々木くん、早く行こう」
「は、はい・・・」
「佐々木くんの家って、こっちの方なんだ」
「はい」
「俺の家もこっち方面だよ」
「そ、そうなんですか!?」
「うん」
酒のせいなのか、それとも本当に熱があるのか。
何故かフラフラする。
井戸田さんが支えてくれているから何とか歩いてる状態。
「佐々木くん、着いたよ」
「あ・・・ありがとうございます」
あっというまに俺のアパートに着いてしまった。
もう少し、二人で歩いていたかったな。
「じゃあね、仕事頑張れよ」
「あ・・・はい」
「今日はゆっくり休むといいよ」
「・・・井戸田さん!」
「え?」
気がつけば、井戸田さんの腕を掴んでいた。
「あ・・・」
「どうかした?」
「あ、すいません!衝動にかられてというか・・その・・・」
「衝動?」
「いえ・・・その・・・すいません!」
「・・・」
俺、何してんだろ。
井戸田さんに呆れられるかもなぁ・・・。
「佐々木くん」
「・・・すいません」
「何で謝るわけ?」
「え?」
「謝られたら、どうしたらいいかわからないじゃん」
「・・・?」
「・・・鈍いなぁ」
どういう意味だろう・・・。
「とにかく、今日はゆっくり休むといいよ」
「はい・・・」
「あ、ちょっと待ってて」
「え?」
井戸田さんが俺に一枚の紙を渡してきた。
「これ・・・」
その紙に書いてあるのは・・・携帯の番号?
「俺の番号」
「え!?な、なんで・・・」
「佐々木くん」
「は、はい」
「期待してるから」
ニッコリと、今まで見たことないくらいの笑顔。
「っ////」
「じゃあね、お大事に」
笑顔で手を振る井戸田さんに、顔が熱くなる。
「・・・どういう意味だろう」
わけがわからない。
井戸田さんは、何で俺なんかに・・・?
「・・・やべぇ////」
マジになりそうだ・・・。
end
コメント
佐々木×潤です。
なんだか、潤さんが確信犯。
なんだか、微妙・・・?
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