<お前のせい>
自分が素直な人間やないことは理解してる。
そのおかげで、今までどれだけ失敗してきたか。
だけど、それでも俺が素直やないのは・・・。
「お前のせいや」
「・・・は?」
いきなり発せられた井本の言葉に藤原は目を見開いた。
「なに?」
「お前のせいや」
「だから、何がやねん」
「・・・知るか」
藤原から顔を背け、不機嫌そうに黙ってしまった井本。
そんな井本に内心で溜息をもらしながらも、藤原は大して気にすることはなかった。
井本の機嫌が悪いことなどいつものことなのだから。
しかし、井本はそんな藤原の態度が気に入らないのか・・・。
ぶちっ!
藤原が今まさに夢中になっていたゲームのコンセントを抜いてしまった。
「な、なにすんねん!」
当然、藤原は抗議するが・・・。
「うるさい」
すぐに井本に押さえ込まれてしまう。
「藤原」
「な、なに・・・?」
「・・・」
いつもとは様子が少し違う井本に気付いたのか、藤原がたじろいだ。
頭の中で警報が鳴り響く。
こんな時、必ずと言っていいほどに良いことはない。
「井本?」
「・・・お前のせいや」
「!?ふっ・・・ぅんんっ・・・」
かみつくような乱暴なキスをした。
藤原の口内を犯し、逃げ回る舌を絡みとる。
「・・・っつ・・・あっつ・・んんっ・・・」
苦しそうに顔を赤くしている藤原が愛しい。
「お前のせいなんや」
「あっ・・・い、いのもとぉ・・・」
「なんや?」
「あ・・・」
「誘ってんのか?」
「ちがっ・・・」
「違わへんよな」
自分より身体の大きい奴を組み敷いて・・・。
キスをして、愛撫して、喘がせて。
「んあっ・・・」
「藤原・・・」
ああ、なんて愛しい衝動か。
「藤原・・・」
「い、のもと・・・」
「愛してんで」
「俺も・・・」
「当然やな」
素直になんかならなくても。
お前はわかってくれているから。
せやから俺は素直になれない。
全て、お前のせい・・・。
「井本」
「あ?」
「さっきの、ほんまか?」
「・・・・さぁ」
「さぁって何やねん!」
「知るか」
俺は素直にならないのは、お前のせい。
だから、俺は素直になれない。
end