<気持ちの行方2>


「祐樹、今度な大阪で仕事あんで」

「・・・久しぶりやな」

「まぁな・・・」

「・・・何か言いたそうやんけ」

「菅には、会わへんのか?」

「・・・今更、会ってどうすんねん」

大上がまだ何か言いた気やったけど、俺はそれを無視した。

今更、どうすればええねん。

「・・・」

あの時の、アイツの泣きそうな顔を覚えている。

原因はささいな喧嘩やった。
せやけど、その日はどっちも引かなくて。
俺はアイツに残酷な言葉を吐いて部屋を出ていった。

「もう、お前とはやってられへんわ」

なんて台詞を吐いてんねん。

「・・・くそっ」

きっと、あの後アイツは泣いたんだろう。
そして、宇治原の所に行ったに違いない。

俺はというと、東京へ行く話が出ていたから。
アイツとは一度も会うことなく東京へ行った。

それから、しばらくして・・・。
梶原から、アイツは宇治原と付き合い始めたと聞いた。

「・・・」

その話を聞いた時、妙な安心感があった。

「・・・ヒロ」

アイツの笑顔が好きや。

『祐樹兄vv』

アイツの無邪気な笑顔が好きや。
アイツの弱い所も強い所も、全てを愛してる。

今更、どうすればええねん・・・。

「大上」
「ん?」
「俺は、菅には会わへん」
「・・・それで、ええんやな?」
「ああ」
「・・・なら、俺は何も言わへんよ」
「・・・すまん」

アイツの気持ちはすでに俺やない男のものなんや。

せやけど・・・。

「・・・ヒロ」

あの時、言えなかった言葉だけでも伝えたい。

ただ一言。

「ごめんな」

next

コメント
ユウキロックさん視点です。
ぎゃーす・・・。
叫ぶしかないねー。