<気持ちの行方3>



貴方が好きやった。

『ヒロはかわええやっちゃなぁ』

貴方の不器用な笑顔が好きやった。

『何でこれくらいで泣いてんねん』

貴方の不器用な優しさが好きやった。

『俺から離れて行くなよ』


うそつき。

離れて行ったのはアンタやんか。

だけど・・・。

『もう、お前とはやってられへんわ』

貴方を離したのは俺や・・・。


どうして忘れることができひんねん。
今の俺には宇治原がおるのに。

きっと、貴方にも恋人がいてる筈やのに。



女々しくて弱い自分に嫌気がさす。


こんな自分が大嫌いや。


「菅さん」
「・・・なに?梶」
「あの・・・そ、その」
「ん?」
「今度、ハリガネロックさんたちが帰ってくるそうです」
「・・・そか」
「それだけですか?」
「なにがやねん」
「松口さんには会わないつもりなんですか?」
「・・・今更やろ」

梶が悲しそうな目で俺を見ている。
ごめんな、心配かけて。

お前は、あの人と俺が付き合ってたの知ってるんやな。

「梶、西野とはどうなん?」
「俺のことはええです!菅さん、このままでええんですか?」
「・・・ええねん」
「宇治原さんが可哀想やとは思わないんですか?」
「・・・うーちゃんが?」

・・・今の俺には、うーちゃんしかいてへん。

うーちゃんがいなかったら、俺は・・・。

「菅さんが松口さんと付き合ってたの、知ってるんでしょ?」
「知ってるで」
「それじゃあ、なおさら!」
「・・・ええねん!!俺はうーちゃんが好きや!松口さんのことは、もう何とも思ってない!!!」
「・・・菅さん」

ごめん・・・そんな悲しい顔しないで、梶。

お前には感謝してる。

せやけど、もう戻ることはできひんねん。

「もう、遅いんや」

あの人のことを忘れるなんて、きっと一生できない。

・・・だけど、言わへんから。

絶対に、うーちゃんを悲しませたりせぇへんから。

苦しむのは俺だけで十分やから。

せやから、俺の心に入り込まないで。

「ごめん、梶」


俺の気持ちは何処へ流れていけばいい?


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コメント
ぎゃーす!!!
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