<その一言が欲しいのに>
朝から田村は不機嫌だった。
そんな田村の不機嫌オーラを感じとった川島は頭上に?マークを浮かべる。
「田村くん、何で怒ってるん?」
「別に」
川島の問いに返ってきたのは、あきらかに不機嫌まるだしな返事。
「・・・」
俺、何かしたっけ?
川島は考え込んだ。
人のいい田村の機嫌が悪い原因の80パーセントは自分のせいである事が多いからだ。
前も、合コンで知り合った女性に抱きつかれただけで田村はしばらく口もきいてくれなかった。
それは、川島にとっては何よりも辛いこと。
それだけは避けなくてはならない。
「・・・田村くん」
「なんや」
「俺が悪いんなら謝るで?」
「・・・別に、川島が悪いなんて言うてないやろ」
こんなこと言われて、以前の自分ならキレていたかもしれない。
だけど、それでも自分が怒らないのは・・・。
「田村くんだから・・・なんやけどなぁ」
「は?何言うてんねん」
「無視せんといて」
君に口をきいてもらえないと、俺は死んでしまう。
「・・・阿呆か」
田村が溜息をついた。
川島の胸がずきんと痛む。
「・・・それは、どういう意味なん?」
俺のこと、嫌いになったん?
「・・・・あー!もう!!」
「!?」
「そんな目で見んな!俺が悪者みたいやろ!!」
そう叫んで、田村は川島を抱きしめた。
そんな田村の行動に川島を目を見開く。
「・・・田村、無視せんといて」
「はいはい。でもな、お前が悪いんやで」
「なんで?」
「・・・今日、何の日や」
「・・・・・・・・・・・・・・あっ」
思い出したわ。
「阿呆や。お前はやっぱり阿呆や」
田村が今にも泣きそうな顔をして川島を睨んだ。
「ごめんな、裕」
「・・・もう、ええよ」
「ほんま、ごめん」
「俺も、無視してごめんな」
「プレゼントないけど」
「ええって」
「・・・裕」
「ん?」
涙目になっている恋人を抱きしめて、触れるだけのキスをする。
「誕生日おめでとう」
来年は、絶対に忘れないから。
「・・・・////阿呆っ」
end
コメント
遅れてすいません。
そして、おめでとうございます!
田村さん!!!
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