<気持ちの行方5>


菅が泣いていた。

あの人に抱きしめられながら、泣いていた。

敗北感と共に感じたのは安堵感。


「・・・やっぱり、俺じゃアイツを幸せにできひん」


ほんまに、好きやったんや。
高校の時から、好きやった。

せやから、アイツが先輩と付き合う言うてきた時・・・。

悔しかった。



「宇治原さん」

壁にもたえれかかり、煙草を吸う俺に梶が声をかけてきた。

「・・・梶」

梶の表情からすると、きっと俺は酷い顔をしてるんやろうな。

「菅さんは?」
「松口さんといてるで」
「・・・」
「梶、ありがとな」
「・・・何でそんなこと言うんですか?」
「お前が菅ちゃんと松口さんの後押ししてくれたんやろ?」
「だけどっ・・・俺は、宇治原さんを・・・」
「ええんや」

お前が悲しむことちゃうで?

「菅ちゃんが幸せなら、俺はええねん」

「宇治原さん・・・」

「菅ちゃんが俺のこと好きやないこと、知っとったしな」

俺は、松口さんの代わりでしかなかった。
それでも・・・。

「俺は菅が好きやった」

でも、もうええねん。

お前が笑ってくれるなら。
お前が幸せになれるなら。

俺は喜んで身を引くで?


俺の気持ちは、一生お前のもんやから。


end

コメント
終わりました・・・。
最後は宇治原さん視点。
そして何故に梶は出てくるのか!
ぎゃーーーー!
すいませんすいませんすいません!!!