<馬鹿ップルの喧嘩>(WS)
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「宇治原の阿呆ーーー!!」
菅のとてつもない大声に、楽屋に入ってきたキングコングは驚いた。
何事かと驚いて楽屋の中を見回してみれば、菅が顔を真っ赤にして宇治原を睨み付けている。
一方、宇治原といえば、そんな菅には構わずに新聞を広げて読んでいた。
「宇治原なんか大嫌いや!」
「へー」
「宇治原なんかとは別れたるわ!」
「ほー」
「ほんまやで!ほんまに別れたるからな!!」
「はいはい」
憤慨する菅に対し、大人な宇治原は適当に相槌を打つだけ。
しかし、それが菅の感に障るのか、菅の怒りゲージは上がるばかり。
「どないしたんやろ?」
「いつもとちゃうな」
「二人の喧嘩なんて初めて見たわ」
「俺もや」
二人のただならぬ様子にヒソヒソと話すキングコング。
すると、そこへランディーズの二人が楽屋にやって来た。
「おっはよー!!」
元気よくいつものように挨拶をする中川。
しかし、いつもと違う重い空気に気付いたのか・・・。
「あれ?すべった?」
「なんや?この重い空気は」
高井がそう言って、ロザンの方へ目を向ける。
すると、そこには宇治原を睨み付けている菅と新聞を読んでいる宇治原の姿が・・・。
感のいい高井は全てを悟った。流石はウェッサイの母である。
「菅、どないしたん?」
宇治原を睨み付けている菅に近づき、訳を聞く。
「高井さん・・・」
「宇治原と何かあったんか?」
「・・・宇治原が」
「宇治原が?」
「俺の・・・」
「お前の?」
「俺の菓子を食いよったんです!!」
「・・・・」
しばしの沈黙が流れた。
そして、キングコングの二人は「そないなことで喧嘩すなや!」と心の中で同時に突っ込んだ。
「地方限定で、滅多に売ってない菓子やったのに・・・」
そう言う菅の目には涙が溜まっていた。
余程、その菓子を食べたかったのか・・・。
「宇治原、菅に謝り」
「俺は謝りました」
高井の言葉に、宇治原が初めて新聞から目を離す。
「あんなん謝った内に入るかぁ!」
「宇治原、何て謝ったんや」
「すまん、言いましたけど」
「菅、宇治原は謝った言うとるやんか。そろそろ許してやり?」
「せやけど・・・」
菅は下を向いてしまった。
流石にコレには宇治原も黙っているわけにもいかず、新聞をおいて菅に近寄った。
「菅ちゃん、俺が悪かったって」
「阿呆」
「今度、同じの買うたるから」
「・・・阿呆」
「だから泣きやんでや?」
「・・・阿呆!お前は全然わかってへん!」
「?」
「あ、あの菓子は・・・お前と二人で・・・食おう思って・・・買うたのに・・・」
そう言う菅の目からは涙が溢れ出していた。
宇治原はそんな菅を抱きしめる。
「菅ちゃん、俺と二人で食おう思って買うたん?」
「そうや・・・それやのに、お前が・・・」
「ごめんなぁ」
「阿呆・・・」
「菅ちゃんの好きな菓子、何でも買うたるから」
「・・・」
「せやから、泣き止んで、な?」
「・・・おん」
「じゃ、行こか?」
「・・・おん」
宇治原と菅が甘い空気を発しながら楽屋を出ていく。
直後、キングコングと高井は安堵の溜息をついた。
「結局、いつもと同じですやん」
「たかが菓子の一つで・・・」
「せやけど、梶やって前に俺がアイス食うたら別れる言うて怒ったやん」
「あれは!俺がストロベリーのダッツ好きなん知ってて、食うたからや!」
「お前らもアイツらと同レベルや」
キングコングに冷静なツッコミを入れ、高井は自分の相方を見やった。
あの険悪なムードの中、ひたすら寝ていた中川の姿がそこにある。
「ほんまの阿呆やな、コイツは」
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end
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コメント
宇治菅です。つうか、高井さん大好きだぁ!!
喧嘩する彼等を宥めるのは高井さんの役目です。
なんていったって、母ですから!
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