<喧嘩>
「福、これ見てみ?」
「なに?徳井くん」
そう言って、徳井が福田に見せたのは一冊の雑誌。
そこには純白のウエディングドレスに身を包んだ綺麗な女性の写真が掲載されていた。
「うわぁ、綺麗やねー」
「せやろ?」
「すごく綺麗やー。僕もいつか、こういう結婚したいなぁ」
「・・・福?」
「こういう綺麗な人と結婚できたらええなぁ」
「・・・福は、結婚したい?」
「やっつぱり男やったら家庭に憧れるやんか」
「・・・俺のことは?」
「え?徳井くんは相方やんか」
「肉体関係あるやん」
「そ、それは・・・遊びみたいなもんやん」
「・・・ふ」
「ふ?」
「福の馬鹿!!!」
ばしっ!
「いたっ!な、何で殴られんねん!徳井の阿呆!」
ばしっ!
「・・・っつ・・・福が、ぶった」
「おう。それが何や」
「・・・福の馬鹿ーーーー!!!」
「馬鹿言うな!って、どこ行くねーん!」
泣きながら部屋を出ていく徳井の後ろ姿を見送り、福田は唖然としながら痛む頬をおさえた。
・
「福は、俺の身体だけが目的やったんやぁ!」
大の男が泣きながら叫んだ。
その顔はほんのり赤い。
どうやら、少しアルコールが入り済みのようで、片手にはビール缶が・・・。
そんな徳井をあきれたように横目で見やりながら、菅はため息をついた。
「よっきゅん、うざいで」
「うざい言うな!お前な、友達が泣いてるんやから慰めろ!」
「友達やったっけ?」
「・・・菅までぇ」
「あー、嘘嘘!泣かんといてよ」
「福の阿呆〜!」
「・・・何があったん?」
これ以上騒がれては困る、と判断したのか、菅が面倒くさそうに聞いた。
すると、徳井は涙目でしゃっくりをあげながらも必死でまくしたてる。
「福が俺以外の女と結婚したい言うたんや!」
「ああ、それで喧嘩したんや」
「ふっ・・・くっ・・・」
「せやけど、仕方ないやん」
「何がやねん!お前は宇治原が他の女と結婚しても平気なんか!?」
「アイツが俺以外の奴の所に行く筈ないし」
「・・・俺も、ついさっきまではそう信じてた」
「・・・(重症やな)」
再度ため息をつき、菅は携帯を取り出した。
「福ちゃんに電話したるから仲直りし?」
「嫌や!」
「何でや」
「福が悪いねん!俺はもう福に捨てられたんやぁ!!」
「・・・(あー、うざっ)」
仕方なしに携帯をしまい、菅は酔っぱらいに付き合う事にした。
そして、数時間後。
「・・・やっと寝たわ」
安堵のため息。
その目の前にはすっかり熟睡しきっている徳井。
「全く、何で俺がチュートの喧嘩に巻き込まれなくちゃあかんねん!そういうのは西野か宇治のとこに持ってけ!」
徳井の頬をギューッと引っ張りながら呟く。
しかし、それでも起きない徳井に自然と笑みがこぼれた。
そして、先ほどしまった携帯を取り出す。
「しゃあないな。二人とも、友達やし・・・」
数十分後・・・ドアのチャイム音が鳴り響いた。
「・・・んっ」
その音に反応するかのように徳井が目を覚ます。
「あ、よっきゅん」
「徳井くん!」
「ふ・・・福?」
まだ寝ぼけているのか、徳井は目をこすりながら目の前にいる福田の姿を見つめていた。
「徳井くん?」
「ふくぅ・・・」
「徳井くん!!?」
福田は目の前でボロボロと涙をこぼし始めた徳井の姿に驚きの声をあげる。
しかし、徳井は泣き止む気配すらない。
「徳井くん?何で泣いてるん?」
「ふっ・・・く、が・・・俺のこ、と・・・すてっ・・・る、て言う、からぁっ・・・俺・・・」
「はぁ?」
「福ちゃん」
「何?菅ちゃん」
「よっきゅんはな、福ちゃんが他の女と福ちゃんが結婚するって思ってるんやで」
「はぁぁぁ?」
「心当たりあんねんやろ?」
「そら、あるけど」
「後は二人で何とかしてな、じゃあ」
「あっ、菅ちゃん!?」
「ばいばーい」
無理矢理な感じで部屋を追い出され、福田を今だ泣いている徳井をとりあえず抱きしめてやった。
「徳井くん、阿呆やね」
「せやかて・・・福が」
「うん。僕が悪かったんや」
「福、俺以外の奴と結婚せんといて」
「しないから。徳井くん以外の人となんて」
「ほんまに?」
「ほんま。さっき叩いてごめんね?」
「俺も、叩いてごめん」
「ええよ」
福田を徳井が強く抱きしめる。
それに応えるように、福田は徳井の背中に手を回した。
「徳井くん、いっそのこと結婚でもする?」
「・・・ううん」
「僕とじゃ嫌?」
「嫌ちゃうよ。せやけど、福とはこのままでも幸せやから」
「・・・////」
「福?顔赤い」
「うん////」
「ずっと一緒にいような」
「せやね」
・
「まったく、迷惑な奴らやで」
煙草を吸い、煙を吐いた。
だけど、あの二人のそういうところが羨ましい。
自分とアイツにはないものだから。
「・・・」
携帯を取り出して、恋人の番号を発信させた。
「・・・宇治?今すぐ来れへん?」
end
コメント
徳福で宇治菅か?
菅ちゃん優しいねぇ。
なんだか、微妙だぁ。
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