<一年に一度くらい>
なんで、とか。
どうして、なんて。
聞かないでほしい。
俺かて、たまにはそういう時もあんねん。
「藤原、飯は食うたか?」
「え?まだやけど?」
「なら、付き合えや」
「は?」
「行くで」
「あ、ちょっと待てって!」
今日は朝から井本の様子がおかしかった。
藤原が遅刻してきたというのに、何も言わなかったのだ。
普段なら、容赦なく殴りつけてくるというのに。
しかも、今度は昼飯を奢るとのこと。
藤原は異様な井本の行動に困惑しっぱなしであった。
「なぁ、井本」
「なんや」
「今日、変やで?」
「なにがやねん」
「何がって・・・いつもより優しい?感じ」
「・・・そうか」
「・・・ほんま、変や」
「阿呆。つまらんこと言うてないで早く選べや」
「あ、ああ」
やはりおかしい。
こんなことを言われて黙っている井本ではないはずなのに。
その時、藤原の考えていることがわかったのか、井本が口を開いた。
「俺かて、そういう時もあんねん」
「え?」
「・・・阿呆やな、お前は」
「な、なんやねんっ」
「愛してんで」
「え・・・////」
突然の愛の言葉に藤原の顔がぼぼぼっと赤く染まる。
そんな藤原を見て、井本は満足そうに微笑んだ。
その笑みは、藤原が今まで見たこともないくらいに穏やかで。
それ以上は何も聞けなくなってしまった。
「・・・藤原」
「な、なに?」
「誕生日おめでとう」
「・・・へ?」
その言葉に慌てて携帯を取り出した。
日付は9月20日。
藤原の誕生日・・・。
「・・・あ」
「阿呆やな」
「・・・あ、ありがと////」
「おう」
「・・・////」
「俺かて、そういう時もあんねんぞ?」
「せ、せやな////」
たまには、優しくしてみるもんやな。
お前の泣き顔も好きやけど。
お前の嬉しそうな顔はそれ以上に好きみたいや。
end
コメント
藤原さん誕生日おめでとうございます。
いやー、たまには優しい井本さんもいいですね。
あっははははははっ!
笑うしかないべなー・・・。
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