<その一言だけでいい>
「児島ー」
「なに?」
「お前、マジで痩せたな」
「まぁな!筋肉もついてきたぜ?」
「・・・ふーん」
「お前なんか十秒で殺せるぜ?」
「・・・」
馬鹿なことを言っている児島を無視し、渡部は溜息をついた。
(・・・コイツ、絶対に覚えてないよな)
別にプレゼントが欲しいとか、そういうわけじゃない。
「・・・なぁ、児島」
「だから何だよ」
「・・・何でもねぇ」
「なんだよ、それ!気になるだろー?」
(鈍いよな、コイツ)
渡部は再度ため息をつく。
(俺の気持ち、知らないよな)
出会いは高校で、パシリのような存在で。
だけど、誰よりも気になる存在で。
「なぁ、渡部ー」
何で、コイツをこの世界に誘ったかなんて。
「愚問だよな」
「は?何言ってんだよ渡部」
「え?」
「愚問って、何が?」
「・・・あ」
知らず知らずのうちに口に出していたことに気づき、顔が熱くなる。
そんな渡部を見て、児島が不思議そうに首を傾げた。
「・・・なぁ、児島」
「ん?」
「お前、今日が何の日か知ってるか?」
「何の日だっけ?」
「・・・マジで知らないわけ?」
「マジでわかんねー」
「・・・なぁ」
「え?」
「一言だけでいいからさ」
「うん」
自分からこんなこと言うなんて、カッコ悪い。
だけど。
「おめでとうって、言ってくれねぇ?」
お前から、その一言が欲しいんだ。
end
コメント
これは渡児のつもり。短っ!!
この二人はリバーシブルですから。
でも、これは私のなかでは不完全燃焼だわ。
とにかく、おめでとうございます!渡部さん!!
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