<もう一度キスしたかった>
振り返る君を抱き寄せて
もう一度キスしたかった
「・・・おちびさん」
「・・・なんだよ」
「・・・うん」
「・・・」
お互いに何も言わない。
こんなにえげつないと言われている俺なのに、やっぱりこういう時は何も言えなくなる。
ねぇ、エドワード。
君は、俺をどう思ってくれていた?
君には酷いことばかりしてきた俺だけど。
それでも、愛してたんだ。
傷つくことを恐れない、揺るぎのない金色の瞳も。
硬くて冷たい手足も。
声も、心も、全てを。
君は強い瞳で俺に言った。
「お前にできるのは、姿を変えて人の心につけこむ事だけか!」
悔しかったんだよ。
俺にできることが一つしかないと思い知らされて。
だから、君を傷つけたんだ。
俺にはない綺麗なものを、強いものを、たくさん持っている君だから。
それゆえに、とても愛しくて。
とても、憎らしくて。
そんな君を愛してた。
「おちびさん」
「なんだよ」
そんな顔しないで?
ずっと君の苦しむ顔を見たいと思っていた俺だけど、本当はそんな顔見たくないんだよ。
君の泣き顔なんて。
「おちびさん、笑ってよ」
お願いだから最後くらい、俺のために笑って。
「エンヴィー」
「・・・エドワード」
おちびさんが泣きそうな顔をしながら微笑んでくれた。
ありがとう。
それだけで俺を救われる。
「これで、最後だよ」
「・・・」
「おちびさん」
「・・・じゃあ、俺」
「・・・うん」
「もう行くから・・・」
本当はね、知っていたんだよ。
君のことが愛しくてたまらないことを。
ただ、認めたくなかった。
そんなの、人間みたいで。
「・・・おちびさん」
俺に背を向けて歩き去っていく君を呼ぶ。
小さな、小さな声で呟く。
「エドワード」
その瞬間、君が振り返る。
目に涙をためながら、口だけを僅かに動かして。
「・・・・・」
俺の名前を呼んでくれてるの?
ありがとう。
だけど、もう抱きしめることはできないから。
笑顔で君を見守るから。
でも、最後にこれだけは言わせて。
「エドワード、愛してるよ」
燃え上がる想いは儚くて
約束は交わされることなく
揺れている恋は泡のよう
「・・・おちびさん」
出会いを悔やむことはないと、ただ君に伝えたい。
振り返る君を抱き寄せて
もう一度キスしたかった
END
コメント
この曲が好きなんです。
本当はね、梶受けで書いてもよかった。
でも、ハガレン見たら何かね。
あっはははははは!
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