<激愛5>



西野と梶原が音信不通なって二週間が過ぎた。


「・・・菅、お前何か知ってるか?」

「・・・」

「どこ行ったんや、アイツら」

「・・・宇治、あんな」

「ん?」

「梶が、俺に・・・西野のこと頼むって」

「梶が?」

「それで、西野と別れる言うてて・・・」

「・・・まさか」

「もしかしたら、梶・・・」

「・・・菅、急いで西野の家行くで」

「う、うん」




眠っている愛しい人の頬を撫であげて、その唇にキスをした。

もう、何日も。

お前は眠り続けてる。


「・・・梶」

「・・・」

「俺な、お前とずっと一緒にいたいねん」

「・・・」

「せやけど、それは無理なんやって気づいた」

「・・・」

「だから、考えたんたけど」

「・・・」

「二人で死のうか?」

「・・・」

「それやったら、誰にも邪魔されへん世界に行けるやろ?」

「・・・」

「なぁ、梶?」

「・・・」


ぴんぽーんぴんぽーんぴんぽーん


「・・・うるさい」


どんどんどんっ


「梶!西野!おるんやろ!?」

「西野!あけてや!!」


「梶、ごめんな。うるさいのが来てもうた」


「西野!!あけろ!!!」

「西野ぉ!!」


「目障りな人らや」


がちゃ・・・・


「西野!お前・・・」

「静かにしてください」

「か、梶は?」

「梶が起きるやないですか」

「西野・・・?」


うっすらと笑い、西野が梶原を抱きしめた。

その梶原の姿を見て、宇治原と菅が驚愕する。

「に・・・西野・・・」

「お前・・・」

西野が愛しそうに梶原にキスをし、二人を睨みつけた。

「帰ってください」

「西野!お前、梶に何したんや!!」

「西野・・・」

宇治原が西野を睨みつけ、菅はただ泣くばかり。

そんな二人の行動が理解できず、西野はクスクスと笑う。

「梶、おかしな先輩らやな?」

「おかしいんはお前や!」

「西野・・・梶は、もう・・・」

「梶?梶は眠ってるだけですよ」

「眠ってるんやない!よく見てみろ!!」

「梶・・・何で、何でやぁ・・・」

「・・・?」


西野が梶原の顔を見る。

そこには綺麗なままの梶原がただ眠り続けていた。


「眠ってるだけですよ?」


「でも、起きないんです」


「せやから、ずっと待ってるんですけどね」


その西野の顔はとても幸せそうで。

宇治原と菅の心を痛めつける。


「西野・・・」


宇治原は壊れてしまったかつての後輩を憐れむような目で見つめた。

もはや怒りや嫌悪はない。

ただ、変わり果てた姿になってしまった愛しい子が哀れで。

その変わり果てた姿になった恋人を幸せそうに抱きしめる後輩が哀れで。

宇治原は、何も言えなくなってしまった。


「梶ぃ・・・」


菅はもはや息のない梶原を見つめ、涙を流した。

悲しそうな笑顔を浮かべながら、自分に西野を頼むと行った梶原。

そんな梶原が可哀想で、壊れてしまった西野が可哀想で。

ただ、涙を流すしかなく。


「梶・・・これからも、ずっと一緒やで?」



捕らわれていたのは、誰だったのか。


その感情を何と呼べがいいのだろうか。


純愛よりも純粋で。

狂愛よりも狂おしい。


激愛という純粋すぎる狂おしい愛情故。




end



コメント

終わりました。

あっははははは!

笑うしかないんです。すいません。

梶くんは餓死・・・かな?

すいませんでした(土下座)