<未練>
未練が残る恋愛なんてしたくない。
そう決めていた筈なのに。
相方の指に光る冷たい無機質。
前は、俺との誓いがはめられていた指だったはず。
そこの指は俺のものやった。
前までは、俺とお前の誓いが輝いていたはずなのに。
「祐樹、見てやーvv」
「なんや」
「俺の愛する息子やでー!」
「・・・お前に似て不細工やわ」
「何言うてんねん!めっちゃ男前やんかーvv」
「あー、そら良かったな」
子供の写真をでれでれしながら見つめる大上。
そんな大上を見ているうちに、無性にその写真をやぶり捨ててやりたい衝動に駆られる。
せやけど、そんなことしたら大上に軽蔑されるのは目に見えているから。
俺は衝動をおさえて偽りの笑みを見せた。
「・・・大上」
「ん?」
「・・・いや、何でもないわ」
「何やそれー、気になるやん」
「大したことやないって」
聞くのが怖い。
聞いたら、大上を困らせてしまう。
せやけど、気になってしょうがないねん。
「・・・はぁ」
「なんや?疲れてるん?」
「まぁな」
「たまには休まなあかんで?」
「わかってるわ」
なぁ、俺との指輪はどうしたん?
お前は、少しでも。
俺に未練を持ってくれてる?
「大上」
「ん?」
「父親なんやから頑張らなあかんで?」
「わかってるって!せやから、よろしくな!相方!!」
「おう!」
お前の隣にいられるんやったら、どんな嘘でもついたるわ。
お前の隣にいられるんやったら、最高の相方を演じたる。
せやから、気づいてや。
俺、まだ指輪してるんやで?
end
コメント
カッコいいロック兄ばかり書いているので、たまにはね。
こんな感じではないでしょうか?
大上さん、罪作りな人ですねぇ。
男前だぜ、ロック兄!!