<四話・旅行準備!>



旅行に行くことになった六兄弟。

場所も温泉旅館に決めたようだ。


「亮廣、俺の鞄どこやった?」

「え?知らんで」

「お前、見とけ言うたやろ!」

「広のはもう車に積んどいたでー」

朝からドタバタしている中川家。

その頃、一緒に旅行に行くことになった福田が到着した。

「こんにちはー」

「あ、福田さんやー!」

「雄太くん、よろしくなー」

ニコニコしながら福田に抱きつく雄太。

そんな雄太を福田からべりっと引きはがす徳井。

「と、徳井くんっ!何してんねん!」

「福に抱きついてええのは俺だけや!」

「何言うてんの!雄太くんは弟みたいなもんやって」

「それでもあかんねん!!」

ぎゃーぎゃーと騒ぎまくる二人。

「なぁ、あれ放っておいてもええの?」

「ええんちゃうか?」

「あ、俺ちょっと行ってくるわ」

「あれ?俊兄、どこ行くん?」

「しばらく留守にするわけやし・・・近所に一応、な」

「じゃあ、俺も行く!」

「雄太が行くなら俺も!」

「亮廣は荷物積みがあるやろ!」



「俊兄、何処に行くん?」

「ん?商店街」

「なんで?」

「・・・一応」

俊彦と二人で商店街へとやって来た雄太。

ちなみに、中川家の喫茶店は商店街のすぐ近くにある。

「お、中川兄弟やん」

「こんにちは、大上さん!」

「雄太は相変わらず可愛いなーvv」

「赤ちゃんは元気ですか?」

「おう、元気やでー」

魚屋である大上に声をかけられ、人懐こい雄太は笑顔で駆け寄った。

大上は既婚者であり、つい最近になって長男が誕生したばかりだ。

「大上さん、しばらく留守にするんでよろしくお願いします」

「留守?どっか行くん?」

「ちょっと旅行に・・・」

「旅行かぁ・・・ええなー!」

「ですから、留守の間・・・」

その時、俊彦の言葉を遮るような大声が・・・。

「おー!雄太やんけ!!」

「あ・・・松口さん」

八百屋の松口がいつものごとく煙草をくわえながら雄太を羽交い締めにしていた。

「く・・・くるし・・」

「雄太っ!松口さん、離してください!」

「なんや、お前もいたんか」

チッと舌打ちをしながら渋々と雄太を離す松口。

松口は雄太を気に入っており、何かとかまうのだが・・・。

雄太はそんな松口が少し苦手であった。

「松口、しばらく店休むんやって」

「は?」

「旅行に行くんやて」

「何日や」

「三泊四日です」

「金づるがおらんと商売あがったりやな」

松口の店に野菜を買いに来る客は少ない。

人相と柄の悪さに問題があるのだが、よくそれで店が潰れないものだ。

「土産、楽しみにしてんで」

「松口・・・お前、ええ加減にせぇよ」

「なんやねん。普段から世話してんねんから当然やろ」

「どこが世話してんねん!」

「あ、あの・・・そういうことなんで」

「わかった。じゃあ、他の店にも伝えといたるわ」

「ありがとうございます。ほな、雄太帰るで」

「うん。・・・あっ」

「どうした?」

「お、俊彦に雄太やーん」

商店街の向こうからゆっくり歩いて来る男が一人。

その男は喫茶店の方によく来る常連客・陣内であった。

「陣内、相変わらずフラフラしてんねや?」

「せやから、ちゃんと仕事してますって大上さん」

「見たことないで。お前が仕事してるとこ」

「それより、珍しいやん?店の準備は?」

「休みです」

「えぇ!?」

「明日から三日間、旅行に行くんです!」

「・・・しゃあないな。後藤の所にでも行くか」

常連客である陣内は毎日、喫茶店に来てはそこで数時間ダラダラしていく。

ようは暇人なのだ。

それなのに店が休みとなれば暇を潰せる場所がないわけで。

「後藤・・・そういえば、アイツこの前オーディション受かったん?」

「いや?落ちたらしいで」

「せやなぁ。アイツ、ギターはうまいけど曲作りがいまいちやん?」

「あー・・・」

後藤とは、この商店街の近くのボロアパートに住むアーティストを夢見るフリーターである。

何故か陣内は彼と仲がいい。

「今の時間なら小堀さんの店におると思うんで」

「小堀か・・・アイツもアレやな」

「音楽センスはあるけど音痴や」

「・・・あ、あの」

「あ?」

「そういうことなんで、留守の間はよろしく頼みますわ」

「あー・・・わかった。ゆっくりしてきぃや」

「雄太、帰るで」

「うんっ」

俊彦と雄太を見送った後、陣内が溜息をついた。

「なんやー・・・しばらくあそこの飯食えへんやん」

「あそこの兄弟おらんと寂しいなぁ」

「っていうか、最近思うんですけど」

「ん?」

「雄太、可愛くなってません?」

「元より可愛いと思うで」

「そういうんじゃなくて・・・色気が出てきたというか」

「そうか?」

「陣内、お前・・・」

「可愛いですよねーvv俺、ちょっと本気になりそうですわ」

「・・・上等や」

「松口さんには負けませんよ」

「・・・俺は奥さんおるから理解できひんわ。ま、程々に」


火花を散らす松口と陣内。

しかし、五人の兄弟はまずそんなこと許す筈がない。


さぁ、どうなる!?


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コメント

どんな終わり方じゃー!

何故か最後は雄太総受けで終わった。

いえ、それが目的なんですけどね。

あははははは。

次は旅行編です。