<鬱陶>



そろそろ、飽きてきたかも。


「福、溜息なんてどうしたん?」

「どうもせぇへんよ?徳井くん」

「何か悩み事でもあんなら聞いたるで?」

「ありがとう」


いつものような笑顔を見せる。

幸せそうに、無邪気に微笑み返してくれる徳井くん。

ああ、鬱陶しくなってきたかも。


幼稚園の頃からの仲で、付き合い始めたのはこの世界に入ってから。

君は必死な顔して僕に告白してきて。

僕は笑顔でそれに応えたけど。


ねぇ、徳井くん?

僕が何で君に応えたか、君は知っている?

本当はね、本当は・・・。


「福、キスしてもええ?」

「・・・ええよ」


たくさんキスして、たくさん体を交わして、たくさん愛を囁いて?

ねぇ、いい加減・・・。

鬱陶しいかも?


「徳井くん」

「ん?」

「別れようか」

「え?・・・なんで?」

「・・・別れたい」

「そ、そんなん・・・嫌や」


泣きそうな顔してる。

男前が台無しやね。

ねぇ、ここで僕が君を捨てたら。

君はどこまで壊れてしまうのかな。


「・・・・嘘」

「・・・・え?」

「嘘やって!本気にせんといてよー」

「な、嘘!?びっくりしたわー!」

「泣きそうになった?」

「なった・・・。福、嘘でもそんなん言わんといてよ」

「・・・ごめんね?徳井くん」


徳井くんが好きな笑顔を浮かべながら、キスをする。

でも、徳井くんの顔はまだ不安そう。


「徳井くん、好き」

「俺も・・・愛してる」

「知ってるよ」


もう、鬱陶しいくらいに。


君は僕の為なら何でもしてくれた。

僕が辛い時は励まして、僕が悲しい時は慰めて、僕が嬉しい時は嬉しそうに微笑んで。

そんなの、いい加減つまらない。


ねぇ、そんなに男前なのに可哀想。

僕なんか好きになって可哀想。

だって、君は知らない。


本当は始めから徳井くんのこと好きじゃなかったなんて。


君は知る由もない。


「福、俺から離れていかないで」

「いかへんよ」


でも、もう少しだけ一緒にいてあげるね。


君はどんな顔するのかな。

僕が君に別れを告げる時。

君が絶望に落ちる時。

君は。


どれだけ哀しい顔を見せてくれるのかな。



end



コメント

スレた福ちゃんが好きです、最近。

徳井さんを弄ぶ福ちゃんです。

小悪魔さんだぁ(死ね)