<君と逢えた喜び>
夜中に電話が鳴った。
『久保!誕生日おめでとう!!』
受話器の向こうから聞こえてきたのは相方のでかい声。
「・・・」
『久保?』
「今何時だと思ってんだよ」
寝起きの悪い俺の声は、自分でも驚くほど低い。
でも、コイツは全く気にしてないみたいだ。
『久保、何してた?』
「寝てた」
『今から久保の家に行ってもいい?』
「ダメ」
『なんで?』
「今12時だぞ?」
『もう久保の家ついてるんだけど』
「は?」
玄関に向かい、ドアを開けると。
そこには俺より背の高い相方が笑顔で立っていた。
「・・・なんなんだよ」
「久保、誕生日おめでとう!」
「わかったわかった。でかい声出すなよ」
「入っていい?」
「ああ」
しかし、それが甘かった。
玄関のドアを閉めるなり、俺を抱きしめてきた高倉。
「おいっ、何してんだよ!」
「んー・・・久保あったかい」
「・・・」
「久保、おめでとう」
「さっきも聞いた」
「何回でも言いたいんだよ」
「あ、そ」
まぁ、今日は俺の誕生日なわけだし。
たまには素直に甘えてみるのも悪くないか?
「・・・凌」
「え?」
名前を呼んだだけなのに、いつも以上に目がでかくなった。
面白い奴・・・。
背中に手を回してやるとますます目が見開く。
「く・・・久保?」
「俺の誕生日なんだから、サービスしろよ」
「・・・孝真?」
「・・・うん」
「でもさ」
「ん?」
「これだと俺がサービスしてもらってるみたい・・・」
「・・・」
確かに。
「ま、いいんじゃねぇの?」
「孝真、好きだよ」
「俺も」
「ほんと!?」
「うん」
高倉の俺を抱きしめる力が強くなる。
「孝真と逢えて幸せだなー」
「何言ってんだよ」
「孝真は?」
「・・・俺もかな」
お前と逢えて良かったと思うよ。
「誕生日おめでとう、孝真」
end
コメント
久保さんおめでとうございます。
何だか不完全燃焼かも。
でも、おめでとう!!!