<飴ちゃん>



起きたら、目の前に飴が一個おいてあった。

「・・・?」

誰のやろ?

そう思いつつも包みを開けて口の中に放り込むと、イチゴの味が広がった。

「甘い」

「せやろ?」

「!?」

ただの独り言に返事が返ってきたことに驚く。

ふと振り返ると、ビッキーズの須知さんが立っていた。

「・・・もしかして、この飴」

「30分後にやる漫才でくばる飴」

「ごめんなさい!!!」

即座に謝ってはみたものの、須知さんは何も言ってくれない。

怒ってるんやぁ・・・どないしよ。

自分の軽い行動が許せなくて涙が溢れ出てきた。

その時、俺の頭を須知さんが優しく撫でてくる。

「・・・須知さん?」

「別に怒ってへんでー」

「でも・・・大事な飴・・・」

「たくさんあるんやから一個くらいかまへんかまへん」

「・・・」

「そんな暗い顔せぇへんでよ、梶ちゃん」

「でもぉ・・・」

「あー・・・わかった!梶ちゃんの気はおさまらないんやったら何かお詫びして?」

「何でもしますっ」

「んー・・・せやなぁ」

腕を組んで考えこむ須知さんを前に、俺の頭の中はいろんなことが渦巻いていた。

何やろ・・・飯奢るくらいなら出来るけど、俺に出来るお詫び・・・。

「あっ、せや!」

「はいっ」

「ちょお目つぶってや」

「えっ!」

な、殴られるんやろか。

「殴るわけやないから」

・・・良かった。っていうか読まれた?

「ほら、目つぶり?」

「は、はい・・・」

目をギュッとつぶって須知さんが何をするのか待った。

その時、唇に何かが触れる。

「!!?」

それはすぐに離れていったけど、この感触は・・・。

「じゃあ、確かに詫びはもろたでー」

「え・・・す、須知さん?」

「またあとでな、梶ちゃん」

「あ・・・」

何事もなかったかのように去っていく須知さん。

俺の気のせい?

そうや、まさか須知さんが・・・俺に・・・キスするわけ・・・・。

「あ、そうやっ」

「え?」

「梶ちゃん、甘かったやろ?」

「え・・・?」

須知さんがいつもとは違う笑みを浮かべながら唇を指さした。

それの意味を瞬時に理解し、俺の顔がすごく熱くなる。

「えぇぇぇ!!?/////」

その後も顔の熱さは消えず、俺は怪しむ西野に必死でごまかす羽目になった。


end


コメント

やっちまった・・・。

こんなドキドキは川潤を書いた時以来だぜ。

須梶・・・ありえないなぁ。

梶受けマイナー道を突っ走ってるな。