<キーボード>


聞こえてくるのは奴の好きなドラクエの、奴の一番好きな曲。

「あー、壊れたー」

なにがやねん。

「井上、そればっか弾いてんなや」

ほら、言われた。
いつもいつも楽屋にいる間はキーボードばかり弾いて。
しかも同じ曲。
飽きるっちゅーねん。

「ドラクエは俺のロマンですわー」

なんや、嬉しそうに・・・。
そない新作買うたんが嬉しいんかい。

人の気も知らないで。

あ、また弾いてる。

先輩がどんなに嫌そうな顔しても、奴は気にしない。

でも、修士さんだけ聴いてるよなぁ・・・。

「・・・井上」
「ん?」

近くに寄って声をかける。
整った顔を向けられ、少し顔が熱くなった。

やっぱり、男前やな・・・。

「準一、顔赤いで」
「え・・・」
「かわええなーvv」

わ、この笑顔めっちゃ好きかも・・・。

井上にギュッと抱きしめられた。
先輩と後輩がウザそうにこっち見てる。

「井上、ここ出よ」
「せやな」

結局は、俺のこと見てくれるんやな。

end

コメント
次長課長です。
初です!河本さん大好きーーーvv
私は井上さんの相手は彼しかいないと思っていますvv