<苦いキス>



「お前ほど煙草の似合わない奴もいないわー」

「え?」

「子供が吸うてるみたいや」

「・・・いいじゃないですか、別に」

「ええよ。都合ええし」

「都合ええって?」

「こういう意味」

息がかかるほどの距離まで顔を近づけると、真っ赤な顔している猿一匹。

その間の抜けた顔に思わず吹き出した。

「っはははは!」

「な、何で笑うんすか!////」

「お前、顔が面白いわー」

「・・・っ!!」

あきらかに不機嫌どうに俺を睨みつけてくる後輩。

せやけど、そんな顔しても怖くないねん。

「怒るなって」

「俺が阿呆だからって・・・からかうのやめてください!」

「別にからかってる気はないねんけど?」

「え?」

ほんま、気づいてくれへんかな・・・いい加減。

こんだけアピールしてんのに、鈍すぎるにもほどがあるわ。

「梶原」

「後藤さん?」

いっそ、言うてまうかな。

俺は、お前のことが・・・。

「梶!」

「あ、西野」

・・・邪魔が入った。

いつもいつも、俺の邪魔をする憎らしい後輩。

今も俺のこと睨んでる。

「梶、そろそろネタ合わせすんで」

「へーい」

「梶原っ!」

「え?・・・っ!!」

西野と共に喫煙所を出ていく梶原の腕を引っ張ってキスをした。

「か、梶!?」

西野の驚いている顔がおかしくて笑える。

唇を離すと、そこには涙目で顔をさっきよりも赤くさせている梶原。

「な、なにす・・・」

「さっきの意味、こういうことなんやけど」

「・・え・・・あっ////」

にやりと微笑んで見せると、更に顔を赤くさせていた。

脈ありと見てもええねんな?

それなら、俺も本気見せるで?

「西野」

お前には悪いけど。

「本気やぞ」

「なっ・・・」

悔しそうな顔しやがって、男前が台無しやな?

好きな奴との初キスが煙草味なんてのも、悪くない。


end


コメント

マルボロの黒が好き。

私はヴァージニアですけども。

初の鳥猿。レキさんに捧げますわ。