<魔法の薬>
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注意!コレは西梶ですが、ランディーズが絡んでいます。
しかも、何故だか陣内智則さんも出てきます。
先輩後輩関係がよくわからないので、間違っているかもしれませんが了承ください。
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それは、楽屋に意味ありげに置いて一本の小瓶から始まった。
「あれ?なんや、これ」
一番最初に気が付いたのはキングコング梶原。
小瓶を手に取り、中に入っているピンクの液体を覗いた。
「薬?」
興味津々といった感じで小瓶の蓋を開けると、何やらいい香りが漂う。
「・・・いい匂い」
香りを嗅いでいるだけだというのに、だんだんといい気分に・・・。
そして、梶原はその小瓶に口をつけた。
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「おはようございまーす」
爽やかな声と共にキングコング西野が楽屋入り。
すると、目の前に飛び込んできたのは床に倒れている相方・梶原。
「か、梶!?どうしたんや!」
「・・・っ・・・」
「息、してない!?」
動転した西野はおろおろするばかり。
「こ、こうなったら!人工呼吸や!」
梶原の体をがばっと抱き上げ、唇を近づける西野。
その時。
「やめーい!」
スコーンッ!という小気味よい音が響いた。
「痛っ!」
見ると、床に丸められた台本が落ちている。
どうやら、これが頭に当たったらしい。
「何してんねん西野!」
西野が頭を押さえていると、背後から高井の怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやら、台本を投げつけたのは高井らしい。
「痛いじゃないですか、高井さん」
「お前が阿呆なことしてるからや!そういうことは家でせぇ!」
「でも、梶がぁ!」
「あ?梶がどない・・・梶!?どうしたんや!!」
梶の倒れている姿を見るやいなや、高井は西野を突き飛ばして梶に駆け寄った。
「西野!お前何したんや!」
「え?別に何も・・・」
すると、高井の目に床に転がっている小瓶が・・・。
「まさか・・・一服もったんか?」
「は?」
「いつかやるとは思ってたが・・・」
「ちょっ、誤解ですよ!」
「ここまで外道やったとは・・・」
高井の背中に炎が見えた。
西野、芸能生活最大のピンチである。
「ちょっ、まっ・・・」
その時・・・。
「・・・んー・・・?」
梶原が起きあがった。
「か、梶!?」
「あれぇ・・・?」
「梶、大丈夫か?」
西野を放り、高井が梶原に近寄ると・・・。
梶原は大きな目をとろんとさせた。
その異常に気付く高井。
「梶?お前、何か変やで?」
すると、梶原は手を伸ばして高井の首に抱きついた。
「!?」
「か、か、梶ぃぃぃ!?」
あまりに衝撃的な光景に叫ばずにはいられない西野。
「か、梶?どないしたんや?」
高井がそう聞くと、梶原は目をとろんとさせたまま、甘えるような声を出した。
「高井さぁんvv好きぃvv」
「は?」
「梶ぃぃぃぃぃ!!」
その梶原の目はまさに恋する乙女そのもの。
その突然すぎる出来事に流石の高井も困惑する。
「か、梶?お前が好きなんは西野やろ?」
「高井さん大好きvv」
「・・・どうなってんねん」
高井が溜息をついて横を見やると、そこにはショックのあまり石と化してしまった西野の姿が。
「・・・ヘタレやな」
高井はそう呟くと、自分に抱きついている梶原を引き離そうとする。
「梶、とりあえず離れ」
「やぁっ!」
「梶・・・」
「高井さんは俺のこと嫌いですか?」
潤んだ大きな瞳、しかも上目使いでそんなことを言われ、ハートに来ない男などいるのだろうか?
いくら高井といえども、これにはやられたようで・・・。
「・・・///」
抱きついてくる梶を抱きしめ返してみたり・・・。
「おっはよー!!」
「おはようございまーす」
「おはようございます」
そんな中、タイミングよく楽屋に入ってきたのは中川とロザンの二人。
『あ・・・』
目の前の光景に、思わず声がハモるロザンの二人。
「トシ!何してんねん!」
「た、たーちん!いや、これは・・・」
中川に梶原と抱き合っている所を見られ、焦る高井。
しかし、中川の口から出た言葉は。
「羨ましいことしてんなや!」
「そこかい!」
思わず突っ込んでしまう高井。
「つうか、どないしたんですか?」
冷静な宇治原が高井に聞く。
「わからん。楽屋に入ったら梶が倒れてて、目覚ました途端・・・」
「高井さぁん、好きやぁvv」
「これや」
「それで西野は石になっとるわけか・・・」
石になっている西野を無情にも蹴りながら菅が言った。
「俺にも何が何だかわからへんねん」
「梶、何で高井やねん?俺にも抱きついてぇな」
高井から離れようとしない梶原に中川が笑顔で話しかけるが、梶原はイヤイヤと首を振る。
「完璧に高井さんに惚れてんねんな」
「梶、高井さんには中川さんがおんねん。お前には西野がおるやろ」
「嫌やぁ!」
宇治原の言葉に、梶原はギュッと高井に抱きつく力を強める。
「梶・・・」
「大体、何でこんなことになってんねん」
「梶の性格からして心変わりするなんてあり得へんやろ」
「・・・ん?もしかしてコレか?」
高井は先ほどの小瓶を手に取った。
「なんやねん、ソレ」
「倒れてる梶の隣に落ちてたんや」
「中身は?」
「空や」
「・・・まさか、ソレで?」
「実は中身は惚れ薬でしたー、なんてオチやったりしてな」
中川の言葉に、静まり返る一同・・・。
「あれ?もしかして、マジなん?」
「そんなん存在するわけないやないですか」
すぐさま、現実的な菅が反論する。
しかし、宇治原は微妙な表情を浮かべた。
「せやなぁ・・・でも、それしか考えられへんやろ」
「宇治原まで何言うてんねん。梶は西野があまりにも阿呆やから高井さんに心変わりしただけや!」
「そうかぁ?」
「せや!中川さんに惚れた言うなら惚れ薬の存在を認めたってもええけどな!」
「菅、どういう意味やねん・・・」
「あっ・・・」
と、その時・・・。
楽屋にとてつもなく元気な声が聞こえてきた。
「失礼しまーす!」
なんと、入ってきたのは陣内智則であった。
「陣?何してんねん」
「梶の様子はどない?」
「どういうことやねん」
「ここに小さな小瓶あったやろ?」
「あったけど・・・」
「あれな、惚れ薬やねん。飲んだ後、眠たくなってな、起きて最初に見た人を好きになんねん」
「・・・嘘」
「菅ちゃん、マジやったみたいやで?」
「信じられへん・・・」
「アレはお前のか?」
「そうや。俺が作ったんやけど、実験体がおらんかったもんやから」
「それで、梶で試したゆうわけか」
「そういうことや。ま、実験は成功みたいやな。良かった良かった」
笑顔でそう言う陣内に呆れ返る一同。
そこへ、復活した西野が・・・。
「冗談やないですよ!そのせいで俺の梶が!!」
「あ、起きたんか西野」
「ずっと石のままかと思っとった」
非情なロザンの言葉にもへこたれず、西野は陣内に詰め寄る。
「梶を戻してください!」
「無理や」
『何ぃぃぃ!?』
高井と西野の声がハモる。
「別にええやんか。高井もまんざらやないみたいやし」
「そ、そんなことっ・・・」
「高井さぁんvv」
「・・・///」
「西野よりお似合いやと思うで」
「アンタは阿呆ですか!俺と梶は恋人同志なんですよ!?」
「冗談や。そんなに怒るなや」
そう言って、陣内はポケットから同じような小瓶を取り出した。
「コレ飲ませれば大丈夫や」
「ほんまですか!?」
西野は陣内の手から小瓶を奪うようにして、梶原に近寄る。
「梶、コレ飲めや」
「やぁっ!」
しかし、梶原の口から出たのは拒否の声・・・。
「梶ぃぃ・・・」
「西野、ソレ貸せ」
すると、高井が西野から小瓶を受け取り、梶原に飲ませた。
「た・・かい、さん?」
「じゃあな、梶」
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数分後・・・。
薬により再度眠りに落ちてしまった梶原が目を覚ました。
「梶・・・」
「梶!大丈夫か?」
西野が駆け寄るよりも早く、何故か中川が梶原に駆け寄った。
「ちょっ、中川さん!」
「心配したでぇ、梶」
笑顔で梶原の顔を覗き込む中川。
すると、何故か梶原の目はとろんとしており・・・。
「中川さぁんvv好きぃvv」
「え?」
「あ、間違えたわ。ソレも惚れ薬やった」
陣内の明るい一言が無情にも西野の耳に飛び込む。
「な、なんやてぇぇぇぇぇ!?」
西野の叫び声が楽屋中、base中に響きわたった。
「よりにもよって中川さんとはな・・・」
「梶の貞操は奪われたも同然やな」
そんな西野に比べ、冷静に言うのは当然ロザン。
「な、何言うとるんですか!俺でさえまだやのに!」
「すまんすまん。解薬は家やったわ」
「じゃあ、早く取ってきてくださいよ!」
「これから仕事やねん。今日はこのままホテル泊まりやし」
「家に帰らない言うことか・・・」
「じゃあ、梶はしばらくこのままやな」
またもや冷静なロザンの発言に、西野はムックの叫びのようなポーズをとった。
「中川さぁんvv好きやぁvv」
「俺も梶のこと好きやでぇvv」
一方、その隣では中川に恋する梶原と鼻の下を伸ばす中川が・・・。
「今日は俺の家に来るか?」
「行くぅvv」
なんて、やばい会話まで聞こえてくる。
「梶!?何言うてんねん!そんなん許す筈ないやろ!!」
「やあっ!」
「梶ぃぃ・・・」
その場に崩れ落ちる西野。
中川とイチャイチャする梶原。
そんな三人を横目で見やりつつ、高井は溜息をついた。
「・・・ちょっと、おしかったかもしれへんな」
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end
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コメント
コレ、中高で宇治菅で西梶なんです。
ですが、高梶と中梶って感じに・・・。
陣内さんが何故に惚れ薬なんぞを作ったのかは謎ですが・・・。
多分、彼に使うのでしょうねぇvv
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