<理解不能な恋愛論>



君の笑顔が好きなんや。

君が笑うのなら、俺は何でもしてあげる。



「好きなら何で告白せぇへんねん」

「んー・・・」

「お前、変やぞ」

「そうかー?」

喫煙所での相方との会話。

怪訝そうな顔している相方に曖昧な笑顔を浮かべ、煙草をもみ消す。

「・・・昔から、そうなんやな」

「えー?」

「本気で好きになったことないんやろ」

「うん」

流石、するどい。

「お前・・・やっぱり変やわ」

「でも今回は本気やでー」

「ほんまかい」

「ほんま、ほんま」

「でも告白はしないんや?」

「しない」

「・・・変」

「まぁまぁ」

理解なんてしてくれなくてもええ。

俺はアイツが笑っていてくれればそれでいい。

せやから、アイツの為なら何でもする。

アイツの為ならどんな良い人間でも演じてみせる。

嫌われなければそれでええんや。

「嫌われなければ・・・な」

「それで俺は満足や」

「ふーん」



「中川さんっ!」

ふと聞こえる大好きなアイツの声。

いつもの笑顔を浮かべて振り返った。

「ん?どうしたー?梶」

「西野が酷いんです!俺のこと阿呆阿呆って・・・」

「そうかぁ、可哀想になー」

優しく頭を撫でてやると可愛い笑顔を見せてくれる。

ほんま、可愛いなぁ。

「中川さん、優しいから大好きやっ」

「俺も梶のこと可愛いから大好きやで」

「・・・中川さん」

「ん?」

「・・・何でもないですっ////」


あれ?


「梶?」

何で、そんな顔すんの?

俺、良い先輩を演じきれてなかった?

「・・・梶」

「っ////」


あ。


今、震えた?


俺に触られるの嫌なんかな。


「・・・」

「あ・・・ごめんなさい」

「ええよ」


嫌いなんかな。

俺のこと、嫌いなんかな。

俺、嫌われてるんかな。


「俺、用事あるから行くな」

「あ、はい」


笑ってくれない。

困った顔してる。

どうして?何で?


「・・・」


俺のこと嫌いだから笑わないんかな。


「・・・高井くん、ダメかも」

「は?」

「俺、梶に嫌われてるみたいや」

「・・・」

「どうしよう」

「どうもこうも俺が言うことやないぞ」

「せやね」

「・・・中川」

「ん?」

「これ、やるわ」

「・・・飴?」

しかも棒つき。

「イライラしてる時は糖分が一番やで」

「・・・ありがと」



梶が笑ってくれない。

どうして?

俺のこと嫌いだから?


「あ、中川さん・・・あの・・」

「・・・どうした?」

一定間の距離をおいて話す。

触られるのは嫌いみたいだから。

「・・・」

あ、梶がまた笑ってない。

俺と話すのも嫌なんかな。

「用ないなら行くで」

「・・・あ」

どうしてそんな顔すんの?

どうやったら笑ってくれんの?

どうして?

どうして?

どうして?


焦ってポケットに手を入れると、指に何かがあたった。


・・・あ。


「梶」

「はい・・・」

「これ、やるわ」

「え?」

不思議そうな顔してる梶に高井くんがくれた飴を渡す。

「・・・あ、ありがとうございます」

笑ってほしい。

嫌わないでほしい。

「梶」

「え?」

「それ、やるから」

「・・・?」

「俺のこと」

嫌わないで。

「そんな顔せんといて」

笑ってほしい。

「・・・中川さん?」

「何でもしたるから」

「え?」

「梶の欲しいもん何でもあげるから」

「・・・」

「俺のこと嫌わんといて」

「・・・中川、さん」

「笑っててほしいねん」

お前の笑顔が好きだから。

「・・・それでも、あかんかったら」

諦めるから。

「・・・」

何も言わない。

梶が何も言わない。

笑ってもくれない。

本気で嫌われたのかもしれへん。


どうしよう・・・泣きそうや。

こんなんやから高井くんにヘタレとか言われるんかな。


「中川さん」

「・・・」

「俺」

「・・・」

「貴方のことが」



“好きなんです”



「・・・え?」


「中川さんは?」


梶がトマトみたいになってる。

どういう意味やろ。

あかん・・・脳が停止してるわ。


でも、今言うべき言葉はわかる。



「梶が好きや」

「俺も好きです」


梶が俺に抱きついてきた。

顔をトマトみたいにして、はにかんだ笑顔を浮かべて。

意味がわからない。


でも。


梶が笑ってる。


それでええか。



end


コメント

意味不明な中梶。

中川さんがへたれだー!

ごめんね。自分でも意味が理解できないよ。

はい、さよなら。