<伝えたい、伝わらない>



どうして、伝わらへんねん。

俺、こんなにアピールしてんのに・・・。

鈍すぎにも程があるんとちゃいますか?

ねぇ、八木先輩。



「高橋、もうすぐ収録始まるで」

「八木くん!新しいギャグ考えたん!?」

「おう!考えたでーvv見てみー?」

「見せて見せてー!」

「いらっしゃいませ、どつきまーすっ」

「おもろいっ!八木くん最高やー!」

「ほんま!?よっしゃ、これで絶対に笑い取ったるからなー!」

「八木くんならできるってー!」


ほんま、天然すぎやで・・・アンタ。

そんなとこに惚れてもうたんやけど。

高校の時、空手やってたアンタに憧れて空手部に入部して・・・。

意外と天然で阿呆な人だってことに気づいて。

意外と、笑顔が可愛いことに惹かれて。


告白もできないまま、アンタは卒業した。

せやから、もっと一緒にいたくて。


「八木くんはさぁ」

「あ?」

「僕とお笑いやっててどう?」

「はー?何言うてんねん」

「・・・どう?」

「んー・・・」


無理矢理にこの世界に誘われて、アンタはどう思ってんねやろ。

俺のこと、まだ後輩としか見てないんかな。

それとも、ただの相方?


「せやなー・・・高橋は」

「・・・」

「こんな凄い世界に俺を誘ってくれた恩人やっ」

「・・・恩人?」

「始めは芸人なんてって思ってたけどな、今は毎日が楽しくてしゃあないねん」

「・・・」

それは、八木くんのなかでどのくらいの位置なんやろ。

「ほんま感謝してるわ。せやから、これからも二人で頑張っていこな!」

「あ・・・当たり前やん!っていうか、八木くんは僕がいてなきゃ笑い取れへんやん!」

「お前!さっきと言うてることちゃうやんか!」

「せやかて、八木くんピンでやれる?」

「・・・無理」

「せやろー?僕がいてなきゃ無理やんかー!」

「くそー!いつか絶対にギャグで笑い取ったるからな!!」

「はははっ!頑張っていこな、八木くん!」

「当然や!行くで、高橋!!」


結局、僕を引っ張ってくれるのは八木くんなんやね。

気持ちを伝えることはまだできないけど。

でも、後悔してないってのがわかっただけ・・・いいか。


伝えたい、伝えられない。

僕の気持ちは、まだまだ一方通行。




end


コメント

うわ、初だよ。

しかも復帰してこの二人で書くって・・・。

気分を変えたくてねぇ。

しかも、このギャグは「マジっすか」でやってたやつです。