<ドーナッツ>



久しぶりのオフだからと、何故か森本が俺の家にやって来た。

「リーダー、お腹すいた」

「・・・適当に食えば?冷蔵庫に何かあるから」

「・・・冷たい」

「あ、そ」

「・・・あ!」

「なんだよ」

いい加減、うんざりしてきた。

いきなり家に来て何をするでもなく、人のベッドの上にゴロゴロするだけ。

何で休日にまで相方の顔見なくちゃいけないんだよ。

いつも仕事で一緒にいるんだからたまの休みくらい一人にさせろ。

つうか、今日はニューアサヒに行くつもりだったのに・・・。

「リーダー!俺、おみやげ買ってきたんだ!」

「おみやげー?」

「ほら!」

そう言って、森本が俺に差し出してきたのは白い箱。

「何?」

その白い箱から微かに甘い香りがした。

「ドーナッツvv一緒に食べようっ」

森本が箱をあけると、中にはいろんな種類のドーナッツが詰められている。

「どれがいい?」

「一人で食えよ。俺はいい」

「何で!リーダーのために買ってきたのに・・・」

「・・・」

しくしく、とわざとらしく泣きはじめる森本。

はっきり言って、すごく鬱陶しい。

「わかった、わかった。食うから」

「やったvvじゃあ、コーヒー煎れるね!」

「森本が?」

「うんっ」

何で、コーヒーのある場所がわかるんだ?

カップだって・・・・森本を過去に招いたのは一回だけのはず。

まさか、一度家に来ただけで覚えたのか?

「リーダー、はい!コーヒー」

「あ、ありがと・・・」

「早く食べよう!」

「先に選べよ。俺は余ったやつでいい」

「リーダーが先でいいよ」

「・・・」

ここで譲りあっていても無駄だろうな。

「じゃあ、これ」

俺はあまり甘くなさそうなやつを選んだ。

「俺はこれっ」

森本はかなり甘そうなやつを選んでいた。

「食べようっ、リーダー」

「・・・ああ」

一口食べてコーヒーを飲む。

調度いい甘さとコーヒーの苦みが意外と合っていた。

「うまい」

「だろ!?」

嬉しそうに笑う森本。

頬にドーナッツの欠片がついている。

・・・ガキくさ。

「お前、ついてるぞ」

「え?」

「そっちじゃない。こっちだって」

「・・・取って?リーダー」

「明日からニブンノゴはコンビになるな」

「嘘だってば!」

「・・・」


いやに焦る森本が面白くて、心の中で微笑む。

たまには、コイツとオフを過ごすのも悪くないかもしれない。


「・・・リーダー、あのさぁ」

「何?」

「・・・キスしてもいい?」


前言撤回。

やっぱりニブンノゴは明日からコンビになりそうだ。


end


コメント

うちのリーダーは強いな。

いえね、リーダーはパチンコが趣味だと聞いたから。

すいません、森本さん。