<信実>



電話なんてかかってこない。

メールなんて送られてこない。

仕事で一緒になるなんて絶対にない。


それでも、俺たちは繋がっていると信じてる。



「兄さん、久しぶりに飲みに行きません?」

「おお・・・せやな」

「・・・元気ないですね?」

「そんなことないで」

収録が終わった直後、後輩である松本が紳助に声をかけた。

可愛い後輩からの誘いを断るわけにはいかない。

しかし、紳助はどことなく元気がなかった。

「兄さん、本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫やって。店はいつものとこでええか?」

「はい・・・」

心配させまいと笑ってみせてる紳助だが、松本はそんな紳助を見て悲しくなる。

松本のことを可愛がっている紳助だが、彼は松本に全てを許してはいない。

「・・・兄さん、俺でよかったら相談にのりますよ」

「いらんこと心配せんでええって」

「俺じゃ相談にのれませんか」

「そんなんちゃうから、気にするな」

「兄さん・・・」


本来、紳助が誰かに心を開くことはない。

こんなに仲がいい松本にでさえ、紳助が本音で語ることはないのだ。

しかし、松本は知っていた。

紳助が唯一、心を開く人物がいることを。



その人物に自分が適うはずがない。

それは松本自身がよくわかっていることだ。


それを改めて思い知らされ、松本は悲しかった。



「兄さん、何があったかはわかりませんけど」

「え?」

「兄さんの親友も頑張ってるんですから、負けてられませんよ」

「・・・そうやな」


松本の言葉に紳助の表情が和らぐ。

そんな紳助を見て、松本はまた悲しくなった。



end


コメント

さんま×紳助←松本です。

でも松っちゃんは受けですね。

はい、これから逃亡の準備をしてきます。