<別離>



ばちんっ!!

「いっ・・・たぁ・・・」

「徳井くんの阿呆!!」

「福、ごめんって」

「知らん!絶対に許さへんからな!!」

叩かれた頬がじんじんと痛む。

だけど、それ以上に目の前で泣いている福に胸が痛んだ。

泣かしたのは俺。

「もう浮気せぇへんから」

「嘘。いつもそう言って浮気してるやん」

「・・・」

返す言葉もないわ。

「女の子がええんやったら別れたるわ!」

「そんなん嫌や!福と別れたない!」

「じゃあ何で浮気すんねん!!」

「・・・」

何でやろ・・・。

自分でもわからへんねん。

福のことしか好きやないのに、何で浮気してまうんやろ。

「ほら、何も言えへんやん。やっぱり僕たちは別れた方がええよ」

「嫌や!」

「嫌でも仕方ないやろ。徳井くんに浮気されるたびに僕がどんな気持ちになるか考えたことあるん?」

「・・・ごめん」

「謝るなら浮気せんといてよ」

「・・・うん」

「もう疲れたわ。終わりにしよう?徳井くん」

どないしたらええのか全然わからへん。

福を繋ぎ止める言葉が見つからへんわ。

「嫌や・・・」

「徳井くん?」

「福・・・俺のこと、見捨てんといて」

「もう遅いで」

「福っ・・・!」

「ばいばい、徳井くん」

俺を見る福の目は冷たい。

今まで、こんなに冷たい福の目は見たことがない。

俺は、ほんまにやってはいけないことをしたんや。

福がいつも許してくれるから、甘えてたんやな。

「っ・・・」

俺に背中を向けて部屋を出ていく福を引き留める術が見つからへん。

「・・・福っ」

部屋を出ていった後に名前を呼んだところで帰ってくるわけないのに。



ほんまに好きやったんは福だけやったのに。

どうして、俺はそれを伝えることもできないんやろう。


そんな自分が情けなくて、俺は福の出ていった部屋で一人泣いた。



end


コメント

最近、こんなんばっかだな。

うちの徳福は。

でも徳井さんは浮気すると思う。