<秋風の季節>
のんは寒がりや。
「のん、俺の家に来るやろ?」
仕事が終わった後、俺はいつものようにのんを家に誘った。
しかし、のんはあからさまに嫌そうな顔をする。
「えー・・・嫌や」
「なんでや?」
いつもなら断ったりせぇへん。
でも、今日はあからさまに来たくなさそうや。
「寒いねんもん、後藤くんの家」
「寒くないやん」
「寒いっ。よくあんな寒い家に住めるなー」
「そうかー?」
俺は結構、寒いのは平気やねん。
せやけど、のんは寒がりや。
「暖房いれたるで」
「それでも寒いから嫌や」
「・・・あ、そうや!温かくなる方法あるわ」
「何?」
「エッチすれば温かくなるやろ」
「阿呆か!!」
ばちんっ!
「いったぁ!!」
勢いよく頬を叩かれた。
そのあまりの痛さに涙目になる俺。
「何すんねん!!」
「それはこっちのセリフや!いつもいつも発情して・・・恥ずかしくないん!?」
「ないわ」
「・・・呆れた。後藤くんって、徳井に勝る変態やで」
「なにぃ!?」
徳井なんかと一緒にすなや!
俺はあそこまで変態ちゃうぞ!!
「とにかく、今日は後藤くんの家には行きたくないねん」
「今日はって・・・これからもっと寒くなるやろがい」
「だから寒い間は後藤くんの家に行かへんから」
「なんや、それは!」
そんなん言うたら、いつエッチすんねん!
蛇の生殺しやわ・・・。
「後藤くん、何してんの?帰るで」
「え?お前、俺の家には来ない言うやん」
「言うたで」
「どういう意味やねん?」
「せやから、後藤くんが僕の家に来たらええ話やん」
「・・・あ?」
「後藤くんの家より僕の家の方が温かいわ」
そう言うのんの顔は少し照れてるようやった。
「行くの?行かへんの?」
「い、行く!行くわ!」
「なら早くしてや?」
「おうっ」
先に歩いていくのんを小走りで追いかけ、俺はその背中を抱きしめた。
「のんちゃん、好きやでっ」
「・・・僕も////」
end
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