<捨て猫2>
松口の家で子猫を預かることになって早一週間。
子猫の世話をする為、井戸田はできるかぎり松口の家にやって来ていた。
しかし、そのことが松口の溜まりやすい苛立ちを増幅させているなんて・・・。
井戸田は知るよしもなかった。
「猫ちゃん、ミルクだぞー」
「・・・」
「美味しい?」
「・・・」
「くすぐったいよっ」
松口の部屋で子猫とたわむれる井戸田。
その光景はとても微笑ましいものだ。
だが、その光景を前に松口はかなり不機嫌だった。
何故なら・・・。
「井戸田」
「あ、すいません。ちょっと待ってください」
「・・・」
井戸田が子猫にばかりかまっていて、自分の相手を全くしてくれないからである。
かなり子供っぽい理由だが、松口はかなり子供っぽい所があるのだ。
それを知っている井戸田だが、今は子猫の世話が大変で松口にかまう余裕がない。
松口の苛立ちは増すばかりであった。
「可愛いなぁvv」
「・・・」
「可愛いですよね?松口さん」
「・・・」
「どうかしました?」
松口の気持ちなど知るよしもない井戸田が首を傾げる。
あきらかに不機嫌な恋人に気づいたようだ。
その時、松口が口を開いた。
「井戸田」
「はい?」
「お前、どれとどっちが大事や」
「それ?」
「猫」
「猫ちゃんと何ですか?」
「俺に決まってるやろ」
「え・・・えぇぇぇ?」
松口の言葉に井戸田は困惑の声をあげる。
それもそのはず。
あの松口が子猫に嫉妬しているのだから。
「ま、松口さん?」
「俺と猫、どっちが大事や」
「え、えーと」
「何で悩んでんねん」
「いや、その・・・」
煮えきらない井戸田に松口はますます不機嫌になった。
流石にやばいと思ったのか、井戸田は松口の背中に抱きつく。
「松口さんのこと、放っておいてごめんなさい」
「別に・・・」
「寂しかったんですよね?」
「は!?阿呆ちゃうか!?」
「顔赤いですよ」
「・・・っ」
「ごめんなさい、松口さん」
「いや・・・・・俺も大人げなかったわ」
「そんなことないですよっ」
井戸田は松口に抱きつきながら笑顔を浮かべた。
その笑顔には、意外な松口の一面を見れて嬉しいという気持ちもこめられていたが。
「えへへへっ」
「な、なんや・・・」
「いえ、別に!」
松口が気づくはずもなかった。
end
コメント
続編でーす。
松口さんがガキくさいvv
ま、いいか(放棄)。