<ペット募集中>
・
久しぶりのオフということもあり、今日はのんびり家で過ごす予定やった。
しかし、俺の愛猫「のりお君」の餌が切れていることに気づき、仕方なく外に出る。
外は腹が立つ程いい天気で、布団でも干してくれば良かったなと呟いてみたり・・・。
こんな日はあまり外出はしたくないんやけど、仕方ないかと溜息をついたり。
しかも、行きつけのペットショップは休みで・・・。
仕方なく、隣町のペットショップまで足を運ぶ。
・
「ん?あれは・・・」
やっと目的地に着いたと思えば、店の前にはよく見知った人物がいた。
スピードワゴンの井戸田潤やったっけ?
俺より年上やけど、芸歴で言うたら俺の方が先輩。
あんま話したことはないねんけど・・・。
「何してんのやろ?」
俺は井戸田さんに近づき、肩をポンッと叩いた。
「うわぁっ!?」
「(ベタな驚きかたやな)なんでそない驚くねん」
「あ、陣内さん・・・こんにちは・・・」
「何でこんな所に突っ立ってんねん」
「あ、この子たち見てたんです」
井戸田さんはペットショップのガラスを指さした。
ガラス越しにケージに入れられた子猫や子犬が懸命に愛想を振りまいている。
「可愛いですよねvv」
「動物好きなん?」
「大好きですvv」
「・・・ふーん」
井戸田さんは俺に笑顔でそう言った。
瞬間・・・ドキッ!!
胸が鳴る・・・。
「・・・って、待てや!!」
「え?どうかしました?」
「あ、いや、何でもあらへん」
「?」
不思議そうに首を傾げる井戸田さん。
何でそない首傾げてんねん。アンタ本当に32か?
不覚にも可愛いとか思ってもうたわ!
「・・・敬語やなくていいで」
「え?でも・・・」
「芸歴は俺の方が上かもしれへんけど、アンタの方が年上やし」
「・・・わかった!改めてよろしくな、陣内」
いきなり呼び捨てかい。
「ところで、陣内は何しに来たの?」
「猫の餌がなくなったから」
「猫飼ってんだ。いいなぁ」
「ペットとか飼ってへんの?」
「飼ってない。だから、ペットショップに来たんだ」
「・・・ふーん」
そう言ってニコニコしながら子犬や子猫を見ている井戸田さん。
そんな時、俺の脳裏にある事が浮かんだ。
「井戸田さん」
「え?」
「アンタ、ペット欲しいんやろ?」
「うん」
「俺、なんかどうや?」
「は?」
かなり呆気にとられた顔しとる。
「今なら猫つきやで」
「え、でも、俺・・・陣内を養う甲斐性ないし・・・」
普通、もっとツッコむべきとこあるやろが・・・。
おもろいなぁ、この人。
「冗談や冗談」
「え?冗談か、よかった」
「むしろ、アンタが俺のペットにならへん?」
「・・・え!?・・あ、それも冗談・・・」
「やないで。本気で言ってんねんけど?」
「えぇ!?」
井戸田さんは目を大きく見開いた。
その時、携帯の着信音が鳴る。
「あ、小沢さんだ・・・陣内、ごめん」
「ええよ」
「・・・もしもし、小沢さん?・・・え?今はペットショップの前だけど・・・うん・・」
小沢さんからの電話か・・・。
俺は心なしか嬉しそうにしている井戸田さんに、だんだんイラついてくるのを感じた。
そして、ある事を思いついて井戸田さんに近づく。
「本気やからな、覚悟しといてや」
「え!?」
耳元でそう囁いて、驚いた顔をしている井戸田さんに背を向けて歩き出した。
「・・・あれ?陣内、猫の餌は?」
・
・
「あ、餌飼うの忘れたわ」
思い出したのは家に帰ってからやった。
・
end
・
コメント
陣潤?いやいや、小潤←陣内です。
私の中で陣内さんはこんなイメージ。
先輩後輩とか、そういう関係がわかりません。
すいません。
・