＜依存＞

初めてアイツが煙草を吸っている所を見たのは、NSCにいた頃。

「あ・・・」

「・・・梶？」

梶が「やばい」とでも言うかのように驚いていた。

せやけど、驚いているのは俺の方や。

お前、いくつやねん。

未成年ちゃうんか。

「・・・ふかしか？」

「いや・・・」

気まずそうにそう答える梶の手には吸いかけの煙草が煙をゆらしていた。

「・・・」

時々、梶は姿を消すことが多い。

いつも何してんねんと思っていたけど・・・。

まさか、煙草を隠れて吸っていたとはな。

「NSCの講師に見つかったら・・・」

「言う？西野」

「言わへん」

「よかったわ」

ニッコリと微笑んで煙草を吸う梶。

なんだか、すごく嫌な感じや。

「・・・」

俺の目から見て、梶はすごくガキくさい奴。

明るくて、元気で、うるさくて。

だけど本当な傷つきやすくて、優しくて。

俺はそんな梶が好きやと思ってた。

せやけど、まさか煙草を吸っていたなんて・・・・裏切られた気分や。

「似合わへんで」

「これ？自分でもそう思うわ」

「ならやめればええやん」

「無理。すでに依存してんねん」

「阿呆か」

煙草を吸う梶がすごく嫌やった。

俺の知ってる梶はそんなんとちゃうはずやのに。

「梶、煙草やめろや」

「無理やって言うてるやんか」

「やめろや」

「・・・何で、やめさせたいねん」

「梶は吸うたらあかん」

「はー？」

梶が不思議そうに俺の顔を見ている。

確かに、自分でも何を言うてるのかわからへん。

勝手に俺の理想を梶に押しつけようとしてるだけや。

こんなん・・・俺らしくない。

「梶らしくない」

「俺らしいって何やねん」

「・・・」

「西野が俺の何を知ってんねん」

「・・・」

「まだ、一年もたってへんで？」

「・・・」

「友達みたいな言い方せんといて？」

「友達やろ・・・」

「そうやったん？初めて知ったわ」

梶がおかしそうに笑う。

煙草の煙が目にしみて、涙が出た。

「じゃあ、俺もう行くわ」

「・・・梶」

「なに？」

「・・・俺はお前のこと知りたいんや」

「・・・俺も、西野に興味あるかもしれへんわぁ」

そう言って、梶はその場から離れていく・・・。

俺は梶の名前と年齢しか知らない。

それなのに、この依存はどうすればいい？

アイツが煙草に依存しているように。

俺はアイツに依存しきってる。

「・・・好きや・・・・ちくしょー・・・」

end

コメント

少しスレた梶ちゃん。

西野っちの片思いです。

なんか、嫌な梶だな。