<紙の上の誓約>
こんな紙きれ一枚で二人の全てを誓えると言うのなら。
僕は何百回でも誓ってみせるのに。
「福、これ書いてほしいんやけどvv」
「・・・え?これって・・・」
徳井が福田に差し出してきたのは婚姻届だった。
いきなりそんなものを突きつけられ、どうしろと言うのか。
福田が困惑の表情を浮かべながら徳井を見やると・・・。
その徳井の顔は期待に胸を膨らます子供のようで、容易に断ってはいけないと福田は考えた。
「徳井くん、これの意味わかる?」
「わかってるで」
「僕らは同性やって理解してる?」
「何度もエッチしてるやん」
「・・・じゃあ、今の法律では男同士の結婚が認められていないことは知ってる?」
「知ってるで」
「・・・本気?」
「本気やっ」
「・・・」
「俺、福と結婚したいねん」
「徳井くん・・・だからね」
「わかってるでっ。だから、書いてくれるだけでええから!」
「・・・書くだけ?」
「書くだけっ」
徳井の顔は真剣だった。
幼なじみでもある福田はこういう顔をしている時の徳井は決して冗談を言わないことを知っている。
しばらく考えこみ、小さく溜息をついた。
「・・・貸して?」
「書いてくれるん?」
「ええよ」
「嬉しいわ!ありがとう、福っvv」
おそらく、心の底から喜んでいるのだろう。
徳井は福田にしか見せない子供のような笑顔を浮かべ、福田に抱きついた。
しかし、一歩の福田は複雑そうな表情を浮かべている。
「徳井くん」
「ん?」
「僕は、そんな紙に誓わなくても・・・何百回でも誓えるで?」
「え?」
「徳井くんのこと、死ぬまで愛し続けるって誓えるで?」
「・・・福」
「でも、徳井くんがそうしたいんやったら・・・」
「・・・福、あのな」
「何?」
「俺も紙なんかで誓わなくても、福のこと永遠に愛し続けるって誓えるで」
「じゃあ、何で?」
「・・・形に残るもんがないと不安やねん」
「・・・そっか」
不安なのは仕方がないこと。
だけど僕らは確かに愛し合っていて。
この気持ちに嘘はないから。
せめて。
形に残る誓約が欲しいだけ。
「徳井くーん、書けたでーっ」
「お、ちゃんと嫁のとこに書いたんや?」
「僕が夫でも良かった?」
「あかんっ!」
「せやろ?僕は徳井くんの嫁さんやもんなっ」
「せやなっ。福は俺の嫁さんやvv」
形だけの誓約だけど、これは永遠に守られる誓い。
でも、一つだけ訂正させて?
僕は死ぬまでじゃなくて。
死んだ後も君だけを愛し続けると・・・。
end
コメント
徳福・・・vv
婚姻届を書いちゃいました。
お幸せにーvv