<合い鍵>
「井戸田、これやるわ」
「え?」
そう言って、松口さんがぶっきらぼうに投げてきたのは何の変哲もない鍵。
いきなりそんなものを渡されて、俺は何の鍵かさえも理解できない。
「あの、これ・・・」
「自由に使ってええで」
「え、えぇ?」
そんな、自由に使えとか言われても・・・何の鍵かもわからないのに?
「松口さん・・・」
「じゃあな」
何の鍵ですか?と聞く前に、松口さんは何処かへ行ってしまった。
一人残された俺は、渡された鍵を見て首を傾げるばかり。
だって、まさかだろ?
「・・・まさかね」
だけど、もしかしたら、という期待がつのる。
俺は渡された鍵を持って松口さんの家に向かった。
「・・・はぁ」
いつもならインターホンを鳴らして松口さんが開けてくれるのを待つだけなんだけど・・・。
もしかしたら、という期待がつのって。
すごくドキドキした。
「・・・」
はやる胸をおさえ、渡された鍵をドアの鍵穴に入れる・・・。
がちゃ・・・。
「・・・嘘」
鍵は鍵穴にぴったりはまり、ドアが静かに開いた。
「・・・本当に?」
「井戸田」
「・・・あ、松口さん」
いつのまにか、目の前には松口さんの姿が。
っていうか、家にいたんだ・・・。
「・・・あの・・・////」
どうしよう・・・嬉しくて何も言えない。
「井戸田」
「は、はい」
「寒いからドア閉めろや」
「あっ・・・すいません・・・」
「・・・わかったんか?」
「え?」
「その鍵」
「・・・はい////」
「・・・自由に使ってええからな」
「はいっ・・・ありがとうございます////」
「・・・おう///」
自分の顔が真っ赤になってるのがわかったけど。
松口さんも少し赤くなっていたから・・・。
不思議と恥ずかしくはなかった。
end
コメント
雛岩さん、いかがでしょうか?
リクエストありがとうございました。
松潤のつもりです。
駄文ですがお受け取りください。