<物知り>
それは暑い夏の夜。
チンクは冷たいコンクリートに寝転がり、夜空に輝く星を眺めていた。
「・・・綺麗やなぁvv」
チンクは星を見るのが好きだ。
しかし、星の名前まではわからないようで・・・。
「・・・コウメイ!」
「あー?」
いきなり名前を呼ばれ、面倒くさそうに返事をするコウメイ。
しかし、その顔はあきらかに嬉しそうである。
「どうした?チンク」
「あの星、名前は何て言うん?」
「どれ」
「あれ」
「・・・・わからん」
チンク程ではないが、コウメイも決して賢い方ではない。
チンクが指さす星の名前など知るはずがなく、首を傾げた。
「んー・・・セミマル!」
「なにー?」
「セミマルはあの星わかる?」
「え・・・ごめん、わからへん」
「セミマルもわからへんの?」
セミマルは馬鹿ではない。
しかし、やはり特定の星の名前まではわからないようだ。
その時。
「チンク、あの星か?」
「そう。源内、わかるん?」
「ああ。あれは北斗七星やな」
「ほくとしちせい?」
チンクがキラキラと目を輝かせた。
そんなチンクを見つめながら微笑む源内。
流石は頭脳担当だけある。
「しかし、小学校で習ったはずやけどな」
「そうやったー?」
「ほんま、チンクは阿呆で可愛いなぁvv」
源内に頭を撫でられ、決して褒められているわけではないにも関わらず、チンクは「えへへ」と笑った。
おそらく、わかっていないのだろう。
「源内は頭ええなーっ」
「惚れる?」
「うん!ほれるーっvv」
「ほんま!?」
「うん!源内は物知りやわっ」
チンクに「惚れる」と言われ、源内の口元がゆるんだ。
好きな子にそんなことを言われれば嬉しいのは当然だろう。
しかし、そんな状況を恨みがましく見つめる者が二人・・・。
「・・・セミマル、あれはどうよ?」
「いや、聞くなやコウメイ」
「せやな・・・するべきことは一つや」
「源内・・・殺すっ」
あきらかに殺気をまき散らしていた。
end
コメント
源内×チンクばーじょん。
つうか、どれだけ阿呆なんだよ!
北斗七星も知らないなんてマジで阿呆な子だ。
でも可愛いから許されるのです。