<缶ジュース>
いつのまにか置いてあったオレンジの缶ジュース。
別に喉が渇いていたわけでもないのに、何故か手を伸ばした。
「あーーーーっ!!!」
「・・・え?おっと・・・」
梶原の大きな声に、高井は持っていた缶ジュースを落としそうになった。
「梶?」
「・・・高井さん、酷いわ!」
「えぇ?」
いきなりそんなことを言われても・・・といった感じだろうか。
高井は大きな目を潤ませて自分を睨みつけている梶原を見つめた。
かなり怒っているのだろう。
しかし、そんな上目使いで睨まれても可愛いだけである。
「梶、どうしたん?」
「・・・そのジュースっ!」
「あ、これ?」
「そうです!」
梶原が怒っている原因は今まさに高井が飲み干してしまった缶ジュースにあるらしい。
高井は近くに置いてあった缶ジュースを飲んでしまっただけなのだが・・・。
「・・・もしかして、梶の?」
高井がそう聞くと、梶原は黙って大きく頷いた。
「ご、ごめんなぁ。知らなかったわ」
「大好きなオレンジやったのにぃぃぃ」
「ごめんごめん!泣くなって、梶!」
泣き出してしまった梶原を前に慌てる高井。
すぐさま梶原に「自動販売機で新しいの買うたるから」ともちかけるが。
「それ、最後のやつやったんです・・・」
「・・・そっか・・・ほんま、ごめんな?梶」
「・・・ふえぇ」
たかが缶ジュースごときで何故に泣く?とツッコミを入れてはいけない。
好きな子に泣かれ、困り果てていた高井だが、何かを思いついたのか梶原の手を掴んだ。
「梶、外行こうっ」
「え・・・?」
「もう仕事終わりやし、ええやろ?」
「は・・・はい」
「よっしゃ」
そう言うと、高井は梶原の手を掴んだまま外へ連れ出した。
一方、強引に連れ出された梶原は不思議そうに首を傾げていた。
「高井さん、どこに行くんですか?」
「コンビニ」
「え?」
「お詫びに梶の好きなもん何でも買うてええで」
「ほんまですか!?」
その言葉に、梶原の目がキラキラと輝く。
ようやく泣き止んでくれたか、と安堵の溜息をついた後・・・。
高井は何かを思いついたのか、ニヤッと笑った。
「・・・梶、どうせなら」
「え?」
「このままデートでもせぇへん?」
「・・・・えぇ!?////」
end
コメント
まともに高梶を書いたの初めてかな。
やっと書けた・・・。
高井さんは結構な軟派だと思うよ。
でも一途なんです!!