<悩み事>
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「はぁ・・・」
一体、今日で何度目の溜息になるのか・・・。
隣に座っていた菅は、相方の溜息にイライラしていた。
「・・・はぁ」
「・・・」
「はぁ」
「・・・」
「・・・はぁぁ」
ぶちっ!
「ええかげんにさらせー!!」
「いったぁーっ!な、何すんねん!」
とうとう切れた菅に殴られ、宇治原が頬をおさえながら抗議する。
「芸人が顔殴られたくらいで喚くな!」
「せやけど、いきなり殴らなくてもええやんか!」
「お前がうっとおしいからじゃ!」
「な、俺のどこがうっとおしいねん」
「さっきから何度も溜息つきやがって、うざいねん!どっか行ってまえ!」
「・・・そこまで言わんでもええやんか」
慣れているとはいえ、流石の宇治原も菅の毒舌に傷ついてしまう。
一方、菅もヘコむ宇治原を見て我に返ったのか・・・。
「あ、すまん。言い過ぎたわ」
「・・・ええよ」
「・・・で?梶と何かあったん?」
「・・・菅ちゃんには何でもお見通しなんやな」
「別にそうやない。ただ、お前が溜息をつくんはそれくらいしかないやろ」
「・・・」
「で?どうしたんや?」
「実は・・・」
宇治原が梶原と付き合いはじめて一ヶ月がたとうとしていた。
初めはラブラブだった二人だが、最近の宇治原は元気がない。
というか、悩んでいる様子。
別に梶原への愛が冷めたとかそういうわけではなく、愛の深さはより深くなっている。
では、何で悩んでいるかというと・・・。
「押し倒したらええやん」
「菅ちゃん・・・」
悩みを打ち明けた宇治原に、菅はあっさりと言ってのける。
そんな相方に涙が出てくる宇治原であった。
「つうか、一ヶ月も付き合ってヤってないってどういうことやねん!」
「ほんまのこと言うと、キスもまだやねん」
「はぁー!?俺と西野なんて付き合いはじめたその日にしたで?」
菅は梶原の相方である西野と付き合っている。
「菅ちゃん、それは早すぎちゃうか?」
「そんなことない、お前らが遅すぎなんや」
「・・・」
「梶原に言うたらええやんか」
「何てや」
「エッチしたい」
「言えるわけないやろ!!」
「なんでやねん!」
バンッと机を叩く菅。
そんな菅に宇治原は静かに言う。
「相手は梶やで?」
「・・・・・・せやったな」
その言葉に妙に納得し、菅は頷いた。
「はぁぁ・・・」
「めんどくさいやっちゃなぁ」
「すまん」
「ま、相手が梶みたいなお子さまじゃ、しゃあないな」
そう言って、菅は携帯を取り出した。
もはや、宇治原と話す気は全くないらしく、恋人である西野にメールを打ちはじめる。
「・・・はぁ」
今日でもはや何百回目となる溜息をついたその時・・・。
宇治原の携帯が鳴った。
その着信音が鳴る時、相手は一人しかいない。
「梶?」
先ほどまでの陰湿さはどこへ行ったのか、宇治原は意気揚々と電話にでた。
『宇治原さん、今大丈夫ですか?』
「大丈夫やで?どうかしたん?」
『いえ、急に声聞きたなって・・・』
「・・・梶vv」
『今日、仕事終わったら宇治原さんの家に行ってもええですか?』
「ええで。迎えに行くか?」
『大丈夫ですよ、一人でいけます』
「迎えに行きたいねん」
『・・・宇治原さんvv』
「梶・・・vv」
電話ごしだが、あきらかにハートが飛び交うような雰囲気。
宇治原の脳に、先ほどの悩みはもはやない。
そんな時・・・。
『梶ー、誰と電話してんねん』
「!?」
携帯から聞こえてきた愛しい恋人とは違う声に、宇治原はあきらかに嫌そうな顔をした。
『ちょっ、やめてください中川さん』
『ええやんかー、俺とお前の仲やろ?』
「か、梶?」
『ごめっ、宇治原さ・・あっ!どこ触ってるんですか!!』
「梶!大丈夫か!?」
『中川さん!ちょっ、マジでやめっ・・・ごめんなさいっ、また後でかけます!』
『かわええなーvv梶は。宇治原やめて俺にせぇへんか?』
この言葉に、宇治原が切れる。
「な、何言うてんねん!梶から離れろやオッさん!!」
しかし・・・。
プーップーップーッ・・・。
電話はすでに切れていた。
「・・・」
宇治原の携帯を握る手に力がこもる。
何やら危険な空気を察した菅は、さっさとその場を離れた。
そして、数秒後・・・。
ものすごい勢いで梶原の元へ走っていく宇治原の姿があったとか・・・。
その時の宇治原は、宇治原らしからぬ形相をしていたと被害者Nの相方Tは後になって語った。
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end
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コメント
宇治梶いいなぁ・・・vv。
書きやすいというか、かなり好きです。
同士様を求めます。
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