<目覚まし時計>
平井善之は目覚まし時計を持っていない。
朝が弱い平井は放っておけば昼まで寝てる奴だ。
その上、何故か目覚まし時計を持っていない為、誰かが起こさなきゃ起きない。
そして、今日も彼は声の高い恋人の怒鳴り声で目を覚ます。
「・・・zzzz」
「このド阿呆・・・起きんかーーーいっ!!!」
「・・・んっ・・・」
部屋中に響きわたる大声に平井が少しだけ目を開ける。
しかし、何故かすぐに閉じて寝息をたてはじめようとした。
「あ、また寝る気やな。・・・おい!起きろ!!」
そんな平井を放っておかないのが相方兼恋人である柳原。
高い声をふりしぼって平井を起こそうとする。
「んー・・・」
「起きろって!今日は休みやから出かるって言うやたろ!?」
今日は久しぶりのオフ。
柳原は平井とデートの約束をしたよう。
だが、平井は布団の中でもぞもぞと動くばかりで起きる気配は微塵もない。
「善之!起きろ!」
「・・・・」
「・・・・・・・善之の阿呆!もうええわ!!」
しびれを切らしてしまったのか、柳原は平井から離れてしまう。
「・・・やな?」
すると、そんな柳原に気づき、やっと覚醒した平井が柳原に声をかけた。
「やな、おはよ」
「おはよう、じゃないわ!」
「機嫌悪いなぁ」
「当たり前やろ!」
よく見れば、目には涙がたまっている。
平井は柳原を優しく抱き寄せ、こぼれだした涙を指ですくってやった。
「ごめん」
「・・・目覚まし時計くらい買えや」
「なんで?」
「毎日、俺が起こさなあかんやんか」
「・・・買わなくてもええねん」
「何で!」
「やなが起こしてくれる方が目覚めいいからvv」
「・・・・阿呆か////」
目覚まし時計が不要なわけは、君が一番よく知っている。
end
コメント
甘い平柳。
あの高い声で起こされてみたいvv