<階段>



お前は気づいていないけど、いつだって俺よりも先に行く。



「田村は階段のぼるの早い」

「・・・は?」

いきなり何を言いだすのか、という顔をする田村。

そんな田村に向かって、川島はニッコリと笑った。

「もう少し、ゆっくりのぼってくれへん?」

「・・・早いつもりはないけど」

「早い。歩くのも早いやん」

「そうやったか?」

首を傾げる田村と、それを黙って見つめる川島のいる場所は階段。

base吉本の階段だ。

「川島が歩くの遅いだけやろ」

「そうかもしれへん」

「俺には俺のペースがある」

「じゃあ俺のペースに合わせて」

「・・・無理言うなや」

「ゆっくりのぼってもええやん」

「・・・」

「いつも、俺より先に行くやろ?田村は」

「せやな」


いつだって、お前は俺より先にいる。

昔も今も、この時でさえも。

同じ位置でのぼることはできないでいる。


「コンビなんやから」

「・・・ああ」

「俺、田村のこと好きやし」

「はぁ!?」

「せやから先に行かんといて」

「・・・////・・・わかった。川島に合わせたるわ」

「ほんま?ありがとうっ」

田村の手を掴むと、ものすごく熱くなっているのがわかった。

それを直に感じて嬉しくなる。


これからは、二人で階段をのぼっていこう。



end


コメント

久しぶりの川田。

足が長いから歩くの早いかも。