<背中>



貴方の背中が大好きです。

貴方はもっと大好きです。


「俺、高井さんの背中って好きです」

「背中?」

「うん、背中」

「何で?」

「広くて頼りがいある感じが好き」

「・・・ふーん」

そう呟いて煙草を吸う高井さんの背中に抱きついた。

場所は俺の部屋。

お互いに仕事が忙しくて滅多に会えへんから。

たまに会った時は何処にも出かけないで部屋で過ごす。

「・・・高井さん」

でも、一緒に過ごせる時間は短くて。

高井さんはすぐに帰らなきゃいけないから。

「・・・そろそろ、行かな」

「もう?」

「ごめんな、また来るから」

「・・・」

本当は帰らないで、と言いたい。

だけど、それは言ってはいけないことだと理解してる。

「頑張ってくださいね」

「梶もな」

できるだけ笑顔で見送りたいから、できるだけの作り笑いを。


でも、本当は寂しくて仕方ないです。

貴方が帰ってしまうのが、寂しくて寂しくて。

俺に背中を向けて歩いていく貴方を見送って、静かに泣きました。


貴方の背中が好きです。

それ以上に貴方が大好きです。



end


コメント

ああ・・・やってしまった高梶。

切ない系はいいなぁvv