<唇>



どうせなら、濡れた唇がいいと思うのが願望。

でも、現実はかさかさの唇にキスしてる。



自分の方からキスした。

別に嫌がりもしないから調子にのって舌をいれたら叩かれた。

かさかさの唇が少し気になった。

「・・・亮くん、唇かさかさ」

「ならキスすんな」

「イヤ」

「・・・なんやねん」

「だからリップぬればいい話でしょ」

「持ってへんねん」

「俺の使う?」

笑いながらリップを差し出したら、あからさまにイヤそうな顔をされる。

「いらん」

「・・・あ、亮くんは女性用の方が合うかもね」

「は?」

「だって女側じゃん」

「・・・」

どかっ!!!

「っだ!?」

「阿呆っ」

真っ赤な顔して部屋から逃げ去っていく愛しい人を見送った。

蹴られた腹がかなり痛い。

「・・・ったぁ・・・」


今回も逃がしてしまった好きな人。

せっかく上手いこと言って連れてきたのに逃がしてしまった。

今度はいつ来てくれるかわからないのに。


「・・・亮、好きだぜ」


お前は俺のものじゃないけれど。


お前にキスできるのは俺だけだと。

お前にあんな顔させられるのは俺だけだと。

あのキスに全てをこめたんだ。


かさかさの唇だったけど。

触れ合った瞬間はものすごく熱かった。



end


コメント

淳亮です。

愛人なのです、淳は。