<初恋>



サッカーボールを犬のように追いかける姿は俺を魅了した。


「・・・あー・・・」

「どうした?平井」

「・・・アイツ、誰だかわかる?」

「え?同じクラスの柳原やんか」

「・・・同じクラス?」

「お前、いくら何でも入学式から二ヶ月たってんねんで?クラスメイトの顔くらい覚えろや」

「・・・やなぎはら・・・」

「つうか、アイツ声高いから目立つ筈なんやけどな」

「・・・ああ、なるほどなぁ」

確かに声が高い。

声変わり来てへんの?ってくらい高いわ。

せやけど、何で今までアイツの存在に気づかなかったんやろ。

あんまり学校に来ないってのもあるんやろうけど、二ヶ月もアイツを知らなかったのが悔しい。

「やなぎはら・・・下は?」

「てつや・・・やったと思うで」

「ふぅん」

小汚い運動着を来ながらひたすら走る姿をただ見つめていると、彼はその高い声で何か叫んだ。

「・・・」

その目は何よりも楽しそうに輝いていて、そんな目にボールしかうつってないんやなと思うと無性にイライラした。

「・・・やなぎはら、てつや・・・」



こっち見てくれへんかな。

ボールばかり見てへんで、俺のことも見てくれへんかな。

・・・なんて、俺はガキかいな。

「阿呆らし・・・」



とりあえず、教室にアイツが入ってきたら声をかけてみよか。



end


コメント

平井さん→柳ちゃん。

柳原さんは可愛いですよねーvv