<雪華>
雪が降るなか、綺麗な華が咲いていた。
「福ー・・・」
「なに?」
「あの花、名前わかる?」
「・・・花なんてあらへんよ」
「あるやん」
「見えへんもん」
「・・・・えー?」
もう一度振り返る。
確かに、そこに花は咲いていた。
「・・・あるやん」
「ない」
「・・・見えへんの?」
「うん」
「・・・えー?」
綺麗な赤い華。
あまりに綺麗で、白い雪によく似合っている赤い華。
福には見えてへん・・・?
「徳井くん」
「ん?」
「その花は徳井くんにしか見えへんのやで」
「・・・何で?」
「それは命の花やねん」
「・・・なんや、それ」
「せやから、徳井くんにしか見えへんで」
福は、そう言って笑う。
その笑顔は、どことなくその花に似ていた。
ふと、花を見る。
「!?」
いつの間にか、花は枯れていた。
「・・・なんで・・・」
白い雪の上に咲いていた赤い花は、その綺麗な花びらを地面に落としていた。
「・・・福」
「それは僕の華なんよ」
「・・・え」
「それは、僕の命の華やねん」
「・・・・枯れてんで」
「うん」
「・・・」
「僕ももうすぐそうなんで」
「・・・冗談やろ」
「さぁね」
「・・・・そんなん、イヤや」
「・・・」
「・・・そんなん、許さへん」
「・・・」
「福」
「・・・なんで徳井くんにしか見えへんのか、教えてあげようか?」
福が笑う。
あの赤い花のように、綺麗に笑う。
雪のなか、健気に咲いていた赤い花のように。
福が笑う。
「僕が」
白い雪が。
「徳井くんのこと」
二人を引き離すかのように。
「愛してるから」
シンシンと、静かに。
福を失う以上に、恐れる現実なんて。
俺は知らない。
end
コメント
あー・・・意味わかんねー。
とりあえず、高速台車とペア的な小説です。
よければそちらもどうぞ。
似てる話ですが、こっちの方が切ない気が・・・。