<白い雪に貴方を想う>
ちらちらと。
降りゆく雪に。
彼を想うばかりで。
僕の心は雪に埋もれてしまいそう。
「・・・はぁ」
吐いた息は白かった。
あまりの寒さに冷たくなってしまった手を少しでも温めようと息を手にかけるが効果はあまりない様子。
「・・・さむぅ」
こんなことなら手袋を持ってくるんだったと今更後悔しても遅い。
梶原は冷える身体を震わせた。
その目線は駅のホームに向けられ、やたらと時間を気にする。
「・・・まだかぁ」
そう呟いて空を見上げた。
すると、梶原の目に飛び込んできた白いもの。
「・・・あ、雪や」
灰色の雲に覆われた空から降る白い雪が梶原の頬を冷やす。
その冷たさに、梶原は頭の中にに待ち人を思い浮かべた。
「・・・似てるわぁ」
まるで、あの人みたいやと思う。
白くて、冷たくて、でも本当は少し黒くて温かい人。
「・・・早く、会いたいです」
自然にこぼれた言葉は雪に溶けた。
早く、早く来てください。
貴方に会えない寂しさは。
僕の心を雪に埋もれさせてしまうから。
「・・・はぁ」
何回目かの溜息が白い息へと変わった時、携帯がうるさく鳴り響く。
画面に表示されているのは好きな人の名前。
「メールや」
その内容を見て笑みがこぼれた。
<どうせ寒いなか待ってるんやろ?もうすぐ着くで。すぐ温めたるわ>
貴方が来てくれるまで、あとどれくらい?
早く来てくれないと、僕は雪に埋もれてしまいそう。
早く、早く、貴方に会いたいです。
そして僕を温めてください。
end
コメント
これは菅梶です。
菅さんを駅のホームで待つ梶。
手袋もマフラーもしてないので寒いんです。
早く菅さんに温めてもらってください。