<とじた目に見えるもの>



それは、休日でのこと。

「宇治原さん!宇治原さん!」

読書をしていた宇治原に笑顔で話しかける梶原。

そんな梶原に頬をゆるませながら、宇治原はその柔らかい髪を撫でてやった。

「んー?どうしたん?」

「俺、すごい発見しましたよ!」

「何を?」

「あのですね、目をとじてください!」

「目?」

宇治原は言われるがままに目をとじる。

「梶、目とじたで?」

「何が見えますか?」

「何って・・・」

梶原の問いに宇治原は返答を迷った。

すると、梶原がニコニコしながら嬉しそうに・・・。

「いろんな色が混ざりあって見えません?」

と聞いてきた。

「いろんな色?」

その言葉に宇治原は首を傾げる。

「目とじると、黒いんやけど白かったり、パチパチってなったりするんです!」

「???」

宇治原はますます首を傾げるが、梶原は気にする様子もなく嬉しそうに話し続けた。

「不思議ですよね!何でなんですか!?」

「・・・何でとか聞かれてもなぁ」

「宇治原さんでもわからないんですか?」

「・・・うーん・・・」

「宇治原さんでもわからへんことあるんですね!」

そう言う梶原はとても嬉しそうで、宇治原は眉間に皺をよせる。

「・・・なんで、嬉しそうなん?」

「宇治原さん頭ええですやん?せやから、宇治原さんにもわからないことがあるって嬉しいです!」

「・・・複雑やわ」

宇治原は目をあけて梶原の頭の上に手をおいた。

そんな宇治原の行動に梶原はくすぐったそうに微笑む。

「・・・宇治原さん」

「ん?」

「俺は目とじると、何が見えてると思います?」

「同じやろ?」

「黒かったり白かったりパチパチしますけど、ちょっと違うんです」

「?」

「目とじると宇治原さんが見えるんですっ」

「俺?」

「目あけてても宇治原さんがいてるし、目とじてても宇治原さんが見えるんですっ」

「・・・・梶」

俺って凄いでしょう!?と満面の笑みを浮かべる梶原を、宇治原は強く抱きしめた。

「宇治原さん?」

「お前、可愛すぎやわ・・・////」

「えっ?」

「俺も、目とじてても梶にか見えてへんで」

「ほんま?」

「ほんま」

「嬉しいです////」



目をとじて見えるもの。

僕には貴方しか見えません。



end


コメント

久しぶりの宇治梶。

梶くん、アホの子みたいになってる。