<君のことばかり>



いつだって、君は俺の頭の中を支配している。



「ああ、もうこんな時間なんや」

ふと時計を見て呟いた。

さっき煎れたばかりのコーヒーが完全に冷めてしまっているのを確認し、溜息をつく。

「・・・あかんな」

たまの休みでも、考えているのは君のことばかり。

どうして俺はこんなにも君が好きなんだろう。

「・・・」

もう一度時計を見れば、すでに時間は6時を過ぎたところ。

コーヒーを煎れたのが3時過ぎあたりだったから・・・。

「・・・」

俺はよほどの重症やと思える。

「・・・はぁ」

溜息をついて携帯を開いた。

アドレス帳を開き、そのまま番号を出して電話をかける。

「・・・」

出てほしい、出てほしくない、という感情の矛盾をおさえ、彼の顔を思い浮かべた。

そして、着信音がとぎれて聞こえてきた君の声。

『もしもし?』

「・・・元気?」

『・・・昨日、会ったばかりやん』

「せやったな」

『何か用なん?』

「・・・うん」

『・・・川島?』

「・・・田村、会いに行ってもええ?」

『・・・・・ええで』

「じゃ、すぐ行くわ」

電話をきって上着に手を伸ばした。

気付けば、笑みを浮かべている自分がいて。

「・・・やっぱ、重症やわ」


でも、嫌ではない自分が確かにいた。



end


コメント

川田を書くと落ちつくのは何故?

不思議だぁ。

それにしても短い。