<冷たい手>
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どうして貴方じゃなくちゃいけなかったのか・・・。
神様は不公平や。何で俺やなくて、あの人なん?
どうして、俺やなくてあの人を連れて行くの?
頼むから返してや。
あの人やないと、駄目やねん。
あの人がいないと、息もできない。
なぁ、一生のお願いやから彼を返して・・・。
・
「・・・う・・うじ、はら?」
ただ、目の前の光景に唖然とするしかなかった。
だって、目に飛び込んできた光景があまりにも信じられなくて・・・。
だって、そんなはずない。
だって、今まで笑っていた。
だって、そんなはずないんや。
だって・・・まさか、コイツが自分をかばって・・・。
「・・・っ」
じゃあ、何で目の前で倒れている愛しい人は血だらけなの?
脳が上手く作動しない。理解してくれない。
何の為の頭脳やねん。
「・・・う、うじはら?」
近寄って、大好きな手に触れてみた。
俺の頭を優しく撫でてくれる温かくて大きな手。
「・・・っ」
どうして冷たいの?
「・・・」
どうして動かないの?
「・・・」
どうして息をしてないの?
「・・・」
どうして血だらけなの?
「・・・」
俺をかばったから・・・?
「・・・っ!!」
認めたくなくて、宇治原の体をおもいっきりゆすった。
「宇治原!!宇治原!!!起きろや!!」
何度も何度も・・・。
「宇治原ぁ!!」
しばらくして、周りが騒がしくなってきた。
遠くからサイレンの音も聞こえる。
「菅さん!!」
誰かが俺を宇治原から引き離そうとした。
「やめてください!菅さん!!」
「嫌やぁ!!離せぇ!!!」
「宇治原さんは、もう死んだんや!」
「嘘やぁ!!」
「菅さん!!!」
「・・・っ!!!」
喉が張り裂けそうなくらい、大声で泣き叫んだ。
・
だって、今日は宇治原の誕生日やったのに。
やから、久しぶりに二人きりで出かけたのに。
なんで?なんで俺なんかかばったん?
俺が悪い?俺のせいなん?
もう、あの優しい手は俺を撫でてはくれないの?
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「・・・っ!う、うじはらぁ・・・」
「菅さん・・・」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「・・・」
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end
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コメント
すいません。宇治菅です。
交通事故です。宇治原さんは菅さんをかばってひかれてしまいました。
すいません。そして、菅さんの側にいるのは西野です。
菅←西ぎみ?。本当にすいません。
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