<愛しのモンキーベイベ>

可愛い可愛いモンキーベイベ。

君は僕らのお姫さま。

時刻は午前9時。

WSの一員であるキングコングの梶原は、誰よりも早く楽屋に来ていた。

スタッフから渡された今日の予定表を眺めながら、他のメンバーが来るのを待つ。

しばらくして・・・。楽屋のドアが開き、宇治原が入ってきた。

「おはようございます」

「おはよう、梶。また梶が一番やな」

「宇治原さんには負けませんよ」

笑顔でそう言う梶原に、頬が緩む宇治原。

「あれ?菅さんは?」

「さぁなぁ。西野と来るんやないか?」

梶原の隣に座り、二人きりという状況を満喫する。

「梶は好きな奴とかおる?」

「えぇっ!?何ですか、いきなり!!」

突然すぎる宇治原の言葉に、梶原は顔を真っ赤に染め上げた。

「ええやん。教えてや」

「・・・べ、別に・・・いませんけど・・・」

「ふーん。せやったら・・・」

「え?う、宇治原さん?」

席を立ち、壁に手をついて梶原を見つめる。

宇治原に真っ直ぐ見つめられ、梶原の鼓動が早まった。

「あ・・・あの・・・///」

「かわええな、梶は」

「可愛くないですよっ」

「かわええって」

「それなら、菅さんの方が・・・」

「・・・あれは可愛いの部類に入らんわ」

「え?」

「梶は知らんかもしれへんけど、アイツは天使の顔した悪魔やねん」

「そんなことないですよ。たまにからかわれるけど、優しいです」

「それはお前限定や」

「?」

「そんなことより、梶・・・」

「・・・///?」

「好きな奴いないんやったら・・・俺と・・・」

その時である。

「梶から離れろや!変態目窪みーーーー!!!」

どかっ!!

何者かに蹴りを入れられ、宇治原が倒れた。

「う、宇治原さん!!」

「梶、大丈夫か!?」

少し遅れて楽屋に入ってきた梶原に相方の西野が近寄る。

「あ、西野っち・・・と菅さん・・・」

どうやら、宇治原を蹴りとばしたのは菅らしい。

その証拠に、倒れている宇治原の背中には菅の足のサイズと同じアトがくっきりと残されている。

「油断も隙もない!俺のいない間に梶に手出そうなんて3億光年早いんじゃ、ボケっ!!」

「す・・・菅さん?」

宇治原をぐりぐりと踏みつけながら毒を吐く菅を見て、梶原は信じられないものを見たと言わんばかりに目をこする。

しかし、そんな梶原に気付いた菅は先ほどの毒気はどこへやら、満面の笑みを浮かべて梶原に抱きついた

「梶ーvv今日もかわええなーvv」

「そ、そんな・・・菅さんの方がかわええですって」

「そんなことないで!梶の方が菅ちゃんなんかより何百倍もかわええ!!」

「西野、菅ちゃんなんかってどういう意味やねん」

「あ、すいません」

「あ、あの・・・宇治原さんは・・・」

「ほっといたらええねん。ついでに生ゴミにでも出したらええ」

「えっ!そ、それはあきませんよ!」

「梶は優しいなぁvv」

菅と西野の二人に頭を撫でられ、梶原は困惑の表情を浮かべた。

一方、宇治原は今だに倒れている。

そこへ・・・。

「うわっ!きしょいもん踏んでもうたわ!!」

「なんやねんな、宇治原ちゃうか?」

「何でこないな所で死んでんねん」

「ま、想像はつくけどな」

楽屋に入って来た、ランディーズの中川と高井。

死体と化している宇治原を踏んでしまった中川は、廊下に宇治原を放り投げた。

哀れ、宇治原・・・。

「おはようございます!中川さん、高井さん」

「おはよう、梶」

「梶ー!今日も可愛いやんけー!!」

中川が下心オーラ丸だしで梶原に抱きつこうとするが、菅がその前に立ちはだかる。

「菅、どけや!」

「嫌や!たーちんみたいな色情狂に梶は触れさせへんで!」

「誰が色情狂や!」

「お前しかおらへんやろ」

「うるさいわトシ!」

「中川さんが色情狂やなかったら、何を色情狂と言うんですか」

「西野、先輩に向かってええ度胸しとるやんけ」

睨み合う菅、中川、西野の三人。

そんな不穏な空気を察した梶原はヤレヤレとその光景を傍観している高井に近寄った。

「高井さん、止めなくてええんですか」

「ほっとけ。梶が気にする事やない」

「でも・・・」

「それよか、梶」

「はい?」

「喉乾かへん?」

「え?」

「俺な、さっきから喉乾いてんねん」

「買ってきましょうか?」

「あー、ええわええわ。それより、茶飲み行くで」

「で、でも・・・」

「おごったるから」

「ほんまですか!?」

三人を気にしていた梶原だったが、奢り発言で顔を輝かせた。

すでに、三人のことは頭にないだろう。

「リハーサルまで一時間以上もあるしな」

「はいっvv」

「何がええ?チョコレートパフェか?」

「高井さん!俺は子どもじゃないです!」

「そうか?」

笑いながら楽屋を出ていく高井と梶原。

一方で睨み合っている三人。

そして、廊下で死んでいる高学歴男。

三人が梶原と高井がすでにいなくなっていることに気付くのは、まだ先のこと・・・。

そして、宇治原が目覚めるのも・・・。

end

コメント

梶原総受けというものを作りたかったんです。

すいません。私の中で菅ちゃんは攻めにもなり得ると・・・。

そして宇治原さんが可哀想すぎる。

最後は高梶だしね。

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