<綺麗な君と汚れた僕>
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君の笑顔が好きなんだ。
ただ純粋に好きなだけ。
たとえ夢の中でも、君を汚すつもりなんて。
少しもなかった筈なのに・・・。
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嗚呼、またこの夢か・・・。
いい加減うんざりしてくる。
夢の中で俺と梶が抱き合う甘美な夢。
梶は可愛い笑顔で俺を誘い、愛の言葉を囁いてくれる。
夢の中の梶は本当に素直で可愛くて、俺の欲を高まらせ・・・。
目が覚めれば、自己嫌悪に苦しむ自分がいる。
嗚呼、ほんまにうんざりしてくる。
夢に?それとも自分に?
実際にありえるはずがない甘美な夢。
俺は幾度となく夢の中で梶を犯した。
現実の梶は俺の相方と付き合っていて、俺のことは優しい先輩程度しか思ってくれていない。
そういう現実を突きつけられ、俺は憎悪と嫉妬に狂っていくんだろう。
嗚呼、ほんまにうんざりなんや。
何で夢の中に出てくんねん。
俺はお前を抱くたびに、自分が憎くて仕方なくなるんや。
そして、そのたびにお前への想いが強まっていく。
現実のお前を抱くことができるアイツを憎んでしまう。
そんな笑顔を俺に向けんといてくれや。
汚れきった俺に、お前はあまりにも綺麗すぎるから。
頼むから、もう夢の中で俺に「愛している」と言わないで・・・。
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「菅さん、おはようございます」
「・・・う・・ん・・・梶?」
「何で寝てはるんですか?」
「ここ、どこや」
「何言うてるんですか。楽屋ですよ」
「・・・そか」
また、夢を見た。
ここに、俺の目の前にいるのが現実の梶。
俺の夢の中に出てくる梶は偽物?
それとも、本当はこっちが夢であっちが現実?
「・・・梶」
「え?」
「俺のこと好きか?」
「好きですよ」
嗚呼、こっちが夢?それとも現実?
「愛してます」
「・・・ほんまに?」
「ほんまです。愛してます」
「俺も愛してる、梶」
本当にこれが現実だと言うなら、俺が見ていた夢は何だと言うのか。
「梶・・・」
「ほんまに愛してます、宇治原さん」
「・・・」
嗚呼、うんざりする。
結局、どちらが現実でどちらが夢かなんて・・・。
今の俺にはもうわからない。
「梶、俺のこと好きか?」
「好きですよ」
なんて残酷で甘美な夢。
「・・・好きなんや、梶」
いくら君を抱いても、君は僕の背中に爪をたてながら、僕じゃない奴の名前を呼ぶ。
「愛してます」
言わないで。
「好きです」
お願いだから・・・。
「・・・好きなんや」
俺の想いは決してお前には届かないのか・・・。
お前の中でいくら果てても、お前もいくら喘がせても。
俺はお前を手に入れることはできない。
ほんまは、気付いてるんや。
それでも・・・。
「愛してるんや・・・」
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end
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コメント
暗い!!でも、こういうの好き。
私は菅梶が大好きです。
小さい人同志がイチャついてるのって可愛くないですか?(知るかっ)
故に、高梶も好きなんです。
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